安定性と可動性
身体のことを勉強するにあたって
最初は各部分の名称などを覚えたものですが
何年かたったのちに興味を覚えたのは機能面から見た分類です
(画像:マッスルエナジー・テクニックより)
筋肉というのは身体を動かすためのものだと思っていたら
体重を支える・姿勢を維持するための筋肉という新しい視点を知りました
もちろん動くのは動くんですが
いわばしっかり身体を動かすための土台を安定させる筋肉の働きがあることを学び
目からうろこが落ちるようでした
クレーン車で物をつるし上げる動きは
クレーン車自体が不安定ではお話になりません
同様に人の身体も大きな動き・速い動き・強い動きをするためには
しっかりと身体を安定させなければできないことは
池の上に小さなボートで出て
ボートの中で大暴れできるはずがないことは容易に想像がつきます
仮にしっかり固定されていても高さ10mの平均台の上に立てば
歩くどころか身がすくんで立てないのもお判りでしょう
動いていない=働いていない
こんな風に考える人も少なくないのですが
じっとしていても自分の体重を支えてたっていうだけでも重労働なんです
私にとっての問題は腰痛館に来られる人の多くが
身体を支えるための筋肉が疲弊し弱体化(老化)して
安定性を維持するための関節が不安定になり
可動性の高い関節に痛みが生じやすいというパターンが実に多いということ
腰痛や肩の痛みや膝痛などはだいたい可動性の高い関節なんですが
その付近の痛みの前提は安定性を確保する筋肉が弱り
安定しないといけない関節が不安定になり
その結果可動性の高い関節の可動域が減少し
いつもの通り動かしてみたら動かなくなって痛み出すというのが身体の中で起こっているのです
当然私としては関連する部位には全部アプローチをするのですが
一つ一つの部品という感覚ではなく
全体の機能を回復させることが目的なので
そこのところのさじ加減が私らの仕事の腕の見せ所ともなります
しかも厄介なのは施術が終わって立ち上がった瞬間から
体重を支える筋肉はフル回転させられるわけですから
術後のことも考えて強すぎるアプローチはかえって筋力が低下するおそれもありますので
慎重な対応が求められます
身体の一部は全部の機能の一部であり
これらのつながりというか関係性って
すごく大事なことなんだと思います
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