上腕二頭筋長頭腱炎
この間「五十肩」関連で石灰沈着性腱板炎という
いくつかの病態の中の一つをご紹介したところ
意外に反響がありましたので調子に乗って
「こんなパターンもありますよ」てな感じで
上腕二頭筋長頭腱炎というのもご紹介しておきます
上腕二頭筋と言えば力こぶの筋肉
二頭筋というくらいですから頭が二つあるのですが
長頭と短頭という二つの頭があります
この図の左が長頭で右側が短頭
ご覧の通り長頭は上腕骨頭に沿って走行し肩甲骨の関節上結節に付着します
かつて私は絵だけ見て上腕骨頭に付着するものと間違えて記憶していたことがありましたが
それくらいややこしい走行をしています
勘のいい方なら疑問に思われるでしょうが
球状の上腕骨頭の上を通り肩甲骨までいくわけですが
ズレて滑り落ちないか心配になってしまう走行です
ところが人の身体ってホントよくできていまして
上腕骨が滑らないような形状に作られています
(画像:解剖学カラーアトラス)
赤い丸で囲んだところを見ていただくと影が見えますが
結節間溝といって長頭腱が通る部分が溝になっているため
滑り落ちない仕組みになっています
ところがこの形状が災いすることもあり
結節間溝を繰り返し行き来するうちに炎症を起こすこともあります
それが上腕二頭筋長頭腱炎という症状になります
腕をよく動かすスポーツなどでも起こりうるのですが
意外にみられるのは高齢になり筋肉が萎縮することで緊張が高まり
炎症を起こしやすくなる場合も少なからずあると見ております
腕は上がるけど後ろに引けないという場合
上腕二頭筋長頭を疑うことがあります
軽度な場合ですと二頭筋などを弛緩することで軽減することもありますが
やはり炎症は手技療法の対象ではないと考えていますので
例え楽になって治ったかのように見えても
炎症自体をどうにかできるわけもありません
痛みが軽減している間に自然に治っているだけのことなんですけどね
本当に世間で五十肩と呼ばれているものの中でも
まだまだ違う現象もありますので
毎回ない頭を振り絞ってアレコレ思案する次第です
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