左右非対称
私がこの世界に入ったころ
「骨格の歪みが病気の原因」という考え方が多かったように思います
カイロプラクティックを中心とする発想ですが
オステオパシーにおいてもそのような考え方をする人が多数だったかもしれません
私が師匠から習った技法も骨格の変位を矯正する目的があったようです
骨格図のような左右対称を良しとして
骨格の変位つまり骨がズレて非対称になることが痛みの原因とばかりに
骨格の変位を見るところからスタートしたのは私も同じでした
ところが現場での経験が増えるほど
骨格の変位は当たり前のように存在し
一つ一つ矯正してたらきりがないと感じるようになりました
というのも骨格の変位があれば痛みが出るのかといえば
意外とそんなことがなく
骨格の変位にも量的・質的な差があると考え始めました
それから主訴にかかわりのあるところだけ矯正するようになったんですが
勉強を重ねるうちに身体の左右で機能の違いがあることに着目しました
誰もが右利き左利きがあるのはご存じでしょうが
例えば右利きの方は動作を右の方から始め
左は身体を支えるという異なる役割があることを知りました
とりわけ足腰に関しては左足を中心に身体を支えてこそ
思う存分に右足を動かすことができます
つまり支える側と動かす側の仕事が違うわけです
当然そこで使う筋肉も左右で違ってきます
これを長年やってると負担のかかる筋肉や部位が左右で異なる方が自然であって
左右対称ということに焦点を当てすぎると不自然なことになりかねないと考えが移っていきました
身体を動かす昨日の差は筋力・疲労などにおいて左右非対称をもたらすものです
それを踏まえた上で骨格のズレを見るのは必要だと思いますが
左右対称自体が目的となることにはちょっと待てよとなるわけです
誤解のないように申し上げると
骨格のズレが良くないことは否定するつもりはありませんが
それだけを金科玉条にしてしまい他の要素を勘案しないと
身体の営みの現実問題を無視することになりかねません
今私が施術中に考えることは
この人は普段どういう動きをしていて
筋力的な問題や年数を重ねた勤続疲労を考えたうえで
骨格の左右非対称を見るかを追求しています
そうすれば骨格のズレを矯正するだけではなく
なんでズレて、どうすればズレないように日常生活を送れるのかを見つけ出すことができるように思います
正直言って骨格のズレはいくつもある問題点の一つに過ぎないと思っています
身体には生活習慣が刻み込まれています
場合によっては心理的要素が絡んでくることも少なくありません
気温・気圧など外的要因も相当数あります
そして何よりも現時点でのその人の体力は見過ごせない要素です
しっかりと見ないといけない要素はもっとあるのでしょうか?
そういう意味ではまだまだ分からないことだらけなんですが
一つ言えることは年数を重ねることで注目すべきポイントが増えてくるということです
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