
21Lessons:21世紀の人類のための21の思考 ユヴァル・ノア・ハラリ
本書をひと言で説明するなら
20世紀までの人類史の総括に基づく
21世紀を生きるための着眼点となるのでしょうか?
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という言葉を聞いたことがありますが
21世紀を生きる私たちが賢くあるためにはまず歴史を振り返ってみるべきです
ただ本書の狙いは単に史実を省みるのではなく
様々なテーマに分類した歴史からその意味を見出し
それが21世紀という時代にマッチするのかを検証している点が
本書の肝となる部分です
その時代に必要だったストーリーも
時代にそぐわなくなればひずみが生じるのは必定
例えば労働力の搾取を解消するために生まれた共産主義も
AIに仕事を奪われたら労働力自体の必要性も薄れ
搾取よりもさらに深刻な問題が発生しそうです
古い時代の社会規範を民衆に知らしめるために宗教というものが存在したとすれば
21世紀という時代に古代の社会規範がそのまま当てはまるかという問題も生まれます
今すぐになくなりはしなくてもその形は変わりそうな感じがします
本書の主役は「虚構の物語」であり
社会を形成することで巨大な力を得た人類の原動力となった物語も
社会構造が変わり物語そのものを見直す必要性があると筆者は説きます
物語の虚構を知るための方法論として筆者が提案するのが
古代仏教から生まれたヴィパサナ瞑想であったりする点は
矛盾ではないにしろクスっと笑ってしまいましたが
こういうメソッドには賛否が分かれそうな気がします
私個人としてはもろ手を挙げて賛成するところではありますが
この辺は好き嫌いの問題かもしれません
しかしながら従来の歴史を下支えした「虚構の物語」は
さらにシビアな見方が増えることが予想されます
その度合いこそが21世紀の新たなる物語に影響しそうな気がします
たぶん2021年に読んだ本の中で一番面白かったと言えそうです
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