キモチイイ
修業時代に師匠からよく言われたのは
施術の目的は気持ちよさを求めることではないということ
身体のどこかが痛くてそれを治してほしくて来られているのだから
施術中の気持ちよさを追い求めるのは邪道だという理由でした
事あるたびに気持ちよさを求めちゃいけないみたいな価値観が私の中にあったのは事実です
ところがある時から「気持ちよさ」が施術の指標になりうることを知り
考え方が一変しました
精神科医の神田橋條治先生の「精神科養生のコツ」という本を読んで以来
気持ちよさは脳に対しての刺激であり
身心に対する影響を与えるということを知りました
それ以来施術自体もかわり
気持ちよさを目的とすることはありませんが
脳がキモチイイと感じることで身体の変化を引き出そうとするようになりました
わかりやすい例で言えば痛みの感覚は身心ともに緊張を生みます
逆に気持ちの良さは緊張を緩和することもあります
私らの仕事において緊張の緩和は施術の効果として求めるべき重要な要素でもあります
さらに痛みは身体の問題点を脳に知らせるアラームのような機能とすれば
気持ちよさは身体の問題点が解消する証左とも捉えることができます
こういった身体の反応を見極めながら
手加減や施術手順の参考にする術も身につけました
同じようなことをやっていても
クライアントが痛がるのと気持ちよくなるのとで
身体の中で起きている現象が正反対になることをありえ
それを判断する材料として気持ちのよさというのを利用することで
失敗しない施術も可能性が高まるものと考えるようになりました
釣り糸を垂れてアタリがきても
自分本位にリールを回し竿をあげれば
魚は逃げてしまうこともあります
逆に魚と対話するように相手の出方を伺い
チャンスを活かす釣り方だと上手くいくような感じに似ています
クライアントの感じることを理解できれば
脳との対話もできるかもしれません
クライアントの意識を相手に対話はできますが
クライアントの身体と対話するのは難しい部分があります
そんなときに気持ちのよさを指標にすれば見えてくるものもありそうです
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