ずる 嘘とごまかしの行動経済学
ここ1~2年ほど行動経済学の本を何冊も読んでいます
何が興味深いのかといえば
人の行動は意外と感情や雰囲気で決定づけられるという点
私自身はできるだけ理性的かつ論理的に行動しようと心がけていますが
どうやらそういう私の意志も怪しいものだと分かってきました
本当のところは感情が優先して行動したことを
後付けの論理で正当化しているというのが実態のようです
だからこそ人の行動にはその人の本性が隠れているもんで
世の中に成人君主が少ないのもそういうことかもしれません
さて本書はタイトルの通り「ずる」をテーマに
どういう状況でどんな意識で悪いことをしてしまうのか?
そういう切り口で解説されています
「不正」どのようにして行われるかという問題に対し
犯罪を犯すことで得られる利益と捕まって処罰されることに不利益を比較衡量してやるか否かを決める
こういった考え方がフツウみたいです
実際刑罰については犯罪行為を思いとどまる反対動機の形成という役割もあるといわれていますが
現実の犯罪者はそこまで冷静に考えることもないでしょう
もちろん悪いことをしたらお巡りさんにつかまるくらいの抑制効果もあるでしょうが
実際に犯罪を起こすときはそういったことは考えないそうです
本書では合理的な考えよりも不合理な力の方が強く働くといわれています
実際にどのように不正が行われるかの実験もあるそうです
わかってたらこんな実験受けたくないんですが
クイズを何問か正解したらお金をもらえるようにして
不正がしやすいグループと不正ができないグループとに分けて実験したら
不正しやすいグループの方がやはり不正が多かったようですが
面白いのは一人当たりの不正の数はさほど増えることなく
むしろちょっとだけ不正をした人の数が増えたそうです
つまり不正はその状況によって誰もが犯す可能性はあるようです
私だけでなくてホッとしました
さらに現金ではなく別の物に報酬を変えると
不正の数は多くなったみたいです
お金だとやましいと思う人が多いが
どうでもいいものだったら不正が増えるというのは面白い結果です
お金の方が目の色を変えて不正するわけでもないようです
この辺のちょっとした良心みたいなのを感じるのも人間らしさかもしれません
それとすごいのは自分のために不正するのではなく
他人の利益のために不正するときは正当理由が生まれ
不正が増えるようです
企業犯罪によくあるパターンかもしれませんね
戦争だったら平気で人を殺せるのもそんなところかもしれません
あの心優しいアンパンマンでさえ最後は暴力に訴えるのも同じなんでしょうかね?
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