
LIFESPAN 老いなき世界 デビッド・A・シンクレア
ずっと前から気になっていた本でした
「老いなき世界」というタイトルからも
フツウの健康本とは違う雰囲気が漂います
本書は巷にあふれる健康メソッドを遺伝子レベルまで掘り下げて解説し
さらに人類の未来まで様々なレベルまで考察されたものです
私も還暦を迎え「老い」というものを考える機会が増えました
でも「老い」は自然の摂理であって受け入れるべきものだとも思ってました
ところが常識ともいえるそういった考えを真っ向から否定し
科学的な解説とともに「老いなき世界」を見せてくれました
まず「老い」のメカニズムなんですが
DNAはデジタルの情報であって変化するものではなく
細胞の性質決定に携わるエピゲノムの情報がアナログで
劣化することこそが「老い」の正体であって
DNA自体が劣化するということではないと述べます
そのうえで長寿遺伝子のサーチュイが遺伝子の修理屋の働きをするので
エピゲノムの劣化を修復すればいいとします
それにより老いはなくなるという夢のようなお話が続きます
そのためにどうすればいいかという大きな問題があるわけですが
適度なストレスを与えることがサーチュイの働きを促し
エピゲノムの劣化を修復するというのが本書のミソ
これを「ホルミンシス」といいます
実は何年か前にホルミンシスという言葉に出会っておりまして
東海大学の川田浩志先生の「見た目が若いと長生きする」という本に
ホルミンシスの解説がありました
それは「ちょっとした毒を身体に取り込みましょう」というワード解説されています
余談ではありますがネットでホルミンシスを検索すると放射能の話題ばかりで
欲しい情報がほとんど手に入らない状態なんですが
少しの毒は身体に耐性を生み強くなるということのようです
誰でも知っているのは運動をすれば健康になるという常識ですが
あれも実はホルミンシス
運動することで産生されるのは活性酸素
これが身体をさび付かせる老化の源であることはよく言われますが
自ら活性酸素を生み出すことでミトコンドリアの働きが強化され
代謝がアップし健康になるという図式
お話を元に戻しますと「ちょっとした毒」=「適度なストレス」となるわけです
適度なストレスはサーチュインを活性化しエピゲノムの劣化を修復するのですが
逆に言えば過度なストレスはサーチュインを疲弊させ
機能しないことも覚えておかなければなりません
「適度なストレス」として列挙されるのは
カロリー制限や間欠的断食は今世間で流行りです
本書独特なのは動物性たんぱく質の制限かもしれません
そして適度な運動は定番ですね
そして寒さに身をさらすというのもありました
このように具体的な方法論はあまり目新しいものはないようですが
しかしながら重要なのはこれらのメソッドが遺伝子に効果があるという点
ずいぶんエライところまできてしまったものです
そして本書の壮大さは恐ろしく寿命が延び
人口が爆発的に増えた人類の未来にまで言及します
これは他所の本にはない発想
まあ、将来的にスペースコロニーを建造して
宇宙世紀を迎える時代がくるのかもしれません
その時まで生きていたら魂を地球の重力に引っ張られないように気をつけたいと思います
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