器質的変化と機能障害
私がこの道に入ってオステオパシーを習い始めたとき
一番最初に教わったのが器質的変化と機能障害について
我々手技療法の守備範囲でもあり
扱ってはいけない人の判断基準というようなニュアンスで教わりました
「器質的変化」というのは身体の物質的・物理的な病変を言います
わかりやすい例でいえば骨折なんかが挙げられますが
骨に物質的な変化が存在しどう考えても手技療法でどうにかできるものではありません
もちろん病院に行ったからすぐ治るというものではありませんが
必要な処置を施すことで先々を見越して最短距離で治るための補助が可能です
たまに打撲で来られる方もいますが
たいてい先に病院で診てもらうように促します
でも外からは物理的な病変が見て取れるわけではありませんので
わからず整体に来られる方もいますが
器質的変化の可能性が高ければ施術をお断りして病院に行かれることをお勧めしています
これこそが我々のプロとしての判断であり
わけもわからずダボハゼのように飛びついていては
事故につながるケースもいずれは出てくることでしょう
そして手技療法が得意とするのは機能障害
レントゲンなどの画像所見では問題はなさそうだが
現実問題として症状が発生している場合があります
ひと月ほど前に私自身エライ目に合いましたが
頚椎症で起きることも座ることも辛くなりました
この時の判断はまず椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など器質的変化の可能性の有無
これを知ることが一番先だと考え受診し
MRIを撮ってもらった結果、まったく問題ないということ
画像所見で痛みが出る気配すらなければ
消去法で機能障害の可能性が高まります
それで解剖生理学などの細かい点を洗い直し
気になるところがあったのでそこに対してアプローチをかけたら
見事に的中して痛みはほとんどなくなりました
完全に機能が回復するまでにもう少し時間はかかりそうですが
原因がわかれば不安はありません
器質的変化と機能障害のはざまで適切な判断ができたからこそ
適切なアプローチが思い浮かんだわけです
まさか頚から腕の激しい痛みが横隔膜と内臓に起因していたなんて
我ながら驚きを隠せません
エエ年して暴飲暴食(特に飲酒)は控えろということなんでしょう
このように我々もわかりづらいケースというのはよくあります
腰椎椎間板ヘルニアなんかも器質的変化であり
本当ならば整体などで治るはずはありませんが
ほとんどのケースでは実際に存在するヘルニアと腰痛などの症状の間に因果関係がなく
他の原因が解消することで症状がとれているだけのことに過ぎないと思っています
こういったグレーゾーンが現場では少なくなく
経験上から判断するほかなく
「とりあえず」で施術することが必ずしも得策ではないことを我々自身肝に銘じておかなければ
大きな事故を起こす可能性もあるわけです
「私失敗しないので」
こう言い切りたいのはヤマヤマではありますが
現実は台本があるドラマとはずいぶん違います
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