異形再生
表紙を見ただけでまともな本ではないことに気づく人も多いでしょう
表紙に登場しているのは「セイレン」という動物
おとぎ話に出てくるマーメイドはセイレンの雌
人であり鳥であり魚であるセイレン
こういう絶滅した(しかけている)動物を研究する学者が1800年代後半にいました
彼の名前はスペンサー・ブラック博士
彼の研究はエスカレートし死んだ人間や動物を手術により
こういった異形動物を実際に作りだしました
もちろん学会の研究者からは異端児扱いされ
社会からも弾圧を受け最後は失意のままに消えてしまいました
ブラック博士はマッドサイエンティストの草分け的存在であり
あと100年後に生まれてきたらショッカーの研究者として
仮面ライダーに立ちはだかる改造人間を生み出していたことでしょう
…というようなあり得ない話も真顔で言えば真実味を帯び
ブラック博士の半生を読んでいると妙に肩入れしたくなりました
この物語はスピルバーグ監督が映画にしたらスゴイ迫力の作品になること請け合いです
吸い込まれるように読み進めるとノンフィクションであるかのような錯覚に陥ります
前半のブラック博士の不幸な物語から
後半はブラック博士の研究データである
異形動物たちの解剖学が紹介されています
このあたりから現実に引き戻されますが
筆者のエリック・ハズぺスよりも翻訳された松尾恭子さんに脱帽です
筋肉や骨格の解説が解剖学を知らないと書けないほど
人体の解剖学のそれに酷似しています
ありもしない動物ですからありもしない骨や筋肉が登場するわけですか
それが恐ろしくもっともらしくこっちも知っているからこそ
翻訳者の努力に敬意を払った次第です
年はとっても男の子が好みそうな話です
これだけ手の込んだことをすれば誰もが引きずり込まれてしまいます
これは映画にすべきです!
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