魚は痛みを感じるか?
頂き物の本です
読む前からとても興味がありました
最近は職場で小さな水槽を置いてある程度ですが
最盛期は部屋に11個の水槽を置いて水族館さながらの自宅でした
足掛け28年間魚を飼いつづけたぶん数百万円は使っていると思います
淡水魚から海水魚、生きたサンゴなど
まあ、いろんな魚を飼育し彼らの生態に触れてきました
「魚は痛みを感じるか?」というタイトルですが
魚の種類によってはテリトリー争いが激しく
しょっちゅうバトルを繰り返していましたが
一度負けた魚はけっこう怯えていたので
痛みを感じていることにはうすうす気づいていはいましたが
本書はそれを実に科学的な研究で証明しています
むしろ読んでいる途中から痛みを感じるかどうかよりも
興味は痛みを感じることのメカニズム
痛みを感じるための「意識」そのものに対する定義づけ
そこのところにこちらの意識は向いてきました
魚という動物だけではなく我々人間が持つ「意識」っていったいどういうものか
そんなところまで言及してあるので
この研究の奥行の深さを感じました
そしてもう一つ本書で感じたものは
動物の命に対する敬意について
欧米人の発想は少なくとも私のそれとは相いれないものを強く感じます
動物保護団体が感覚力を持つ魚を展示するのは不適切だという抗議の声が上がったと書かれていますが
逆に言えば感覚力を持たない動物との差別意識がその前提にあるように感じてなりません
まあ、今でも人間を差別する人もいる中
その源流は動物に対し何らかの線引きで優劣を決める発想を持ち合わせておられるのではないかという疑念を持ってしまいました
日本人の文化とは尺度が違うと言わざるを得ません
軽い興味で読み始めた本ではありますが
そこには大きな問題提起がありました
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