早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした
早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした 小林拓矢
「ブラック企業」という言葉が登場したのは
2000年を過ぎた頃からで2013年に流行語大賞をとってから
一般的に言われるようになったみたいです
以来理不尽ともいえる人使いをする会社をブラックというのが社会の風潮になってきました
私が思うにブラック企業という言葉ができる以前からそういった企業は多く
むしろ社会がやかましくなってから悪目立ちしているだけで
昭和の時代はそういう企業がフツウだったんではないかと思うほどです
とりわけ団塊の世代の方たちなんて「モーレツ」という言葉を旗印に
「24時間働けますか?」とCMにあおられ働いておられました
近年「ハラスメント」という言葉も登場し
ずいぶん職場環境もマシになったのではないでしょうか?
本物のブラック企業はブラック企業という言葉が生まれる前にあったんだと思います
企業自体よりも労働者の意識が変わってきたのがこの問題のポイントだと思います
むかしは人の倍働いて出世するという夢と希望もありましたが
バブル崩壊以来出世もしづらくなり企業自体が生き残ることが困難なご時世で
働く人に夢も希望もなくなりつつあり
必死で働くということ何も見いだせなくなってしまったという背景があって
ブラック企業なり社畜なりの言葉が登場したと感じています
さて本書のレビューに移りますが
Amazonのコメントでもけっこうボロクソに批判されているようです
早稲田を出たことを鼻にかけているというご指摘もありましたが
筆者自身が「いい大学を出て一流企業に入って定年まで安泰」という古い価値観をお持ちのようにお見受けします
ところが筆者が大学を出られる10年ほど前にバブルは崩壊し
企業はバタバタと倒産しこういった価値観も崩壊しているはずですが
早稲田を出たというだけで他の大学出身者とは違うと言いたげです
確かに入るときには違いますがあとは仕事で結果を出したもの勝ち
おそらく筆者なら特別扱いではなく普通の扱いでいいといわれるでしょうが
企業にとっては利益を生み出す従業員には人並の扱いはしてくれても
利益を出さない従業員には情け容赦なく放り出されるのがこのご時世のフツウだと思います
企業だって必死なんですから倒産しないように利益を上げる社員だけを雇いたいというのが本音です
まったくと言っていいほど会社に利益を与えていない筆者にはお気の毒ですが
会社も早く辞めさせたいと思うのは分かるような気がします
会社も会社の人たちもそこそこ利益を上げたら手の平を返すようにチヤホヤしてくれますよ
中小のブラック企業の方がその辺ははっきりしているように思います
それぞれの会社に入って仕事を覚えて活躍できるようになりたいという熱意も伝わってこず
将来性という点においても筆者に同情しづらいのが正直なところ
おそらく人手不足もあり企業の体質も今後変わってくることが予想されますが
それでも稼がない人間は雇いたくないという企業の論理は普遍的です
そもそも学生時代にしっかりとした就活をしてこず
仕事をする上でのスキルを得るための努力もなさっておられなかったようです
しかもそれぞれの業種を調べることもなく場当たり的に「正社員になりたい」というだけで動いてたらハズレくじ引くのも致し方ないでしょう
ウリが早大卒だけというのもちょっと難しい面があるようです
本文中に中小企業にはブラックが多いとありましたが
大きな企業にもその中で大変な競争があって
それに打ち勝ってこそそこの企業で生き残れるでしょうが
けっこう出向で合法的に出されてしまうことも多いと聞きます
本書を読んでいると筆者を応援したくなるようなくだりは一つも出てきません
仕事も流しているだけで真剣に取り組んでいない
会社内でもコミュニケーションを避けているようにも見受けます
会社の人達もそれを見抜いているというシーンがいくつもありました
千葉商科大学と阪南大学卒の同僚に対しても偏差値が低そうだから距離を置くなんて
正直に書くところはなかなか勇気があると思います
筆者の人格まで否定するような感じで申し訳ありませんが
人にはそれぞれあった道というのがありますから
今のライターでもなんでも楽しんで働けるような仕事に巡り合えることを願ってやみません
タイトルの強いヒキで購入しましたが
久々に陰にこもってしまいました
リアルな描写は評価できます
それだけに後味の悪い本です
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