相反神経支配
皆さんご存じの通り筋肉は伸び縮みします
ところが誤解しやすいことなんですが
単体の筋肉を取り上げれば
縮むことはできても自発的に伸びることはありません
だから縮むときは自らの機能として収縮しますが
伸びるときは他からの力が加わり受動的に伸びるにとどまります
例えば肘関節の動きにおいて肘を曲げるときは
上腕二頭筋や上腕筋・腕橈骨筋が縮むことで動きますが
逆に伸ばすときはこれらの筋肉の作用ではなく
上腕三頭筋が縮むことで肘は伸び
いわば屈曲の時に働く筋肉は上腕三頭筋によって伸ばしてもらうということになります
これらの筋肉は拮抗筋と呼ばれお互い逆の作用をします
その際お互いの邪魔をしないよう
屈曲するときには伸展の筋肉は運動ニューロンは抑制され
働くことができません
逆に伸展するときには屈曲の筋肉は働くことができません
このような神経のメカニズムを相反神経支配といいます
要するに片方の筋肉が動いているときは
拮抗筋は働きを抑制され弛緩した状態になるということになります
我々にとってありがたいのはある筋肉が収縮しようとするとき
拮抗筋は弛緩するというメカニズムに着目して
筋拘縮した筋肉を弛緩するとき
この理屈を利用して拮抗筋を使って弛緩することができるというわけです
マッスルエナジー・テクニックの中の相反抑制を利用した技がそれにあたります
ところが理論と現実は往々にしてかみ合わないことがあります
私もこのテクニックを教わりけっこう使いましたが
上手くいくときもあれば全然ダメなときもありました
そのころは「このテクニックは効かない」なんて思った時期もありましたが
年数を重ねるうちに間接の角度や力の入れ方、症状の程度によっても変化をつけることで
より効果的に技を使えることを知りました
人に技を教わってもすぐさま役に立つわけではなく
使いこなせるには経験の積み重ねと工夫が必要なことを学びました
プロ野球のピッチャーが新しい変化球を教わっても
実際に試合に使える精度が身につくのは何年も先というのと同じなんですね
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