痛みがなければ
多くの来院者は身体のどこかに痛みを抱えてやってこられます
「痛みさえなかったら」
異口同音に言われるこの気持ちはよくわかります
皆さん自分が抱える痛みこそが一番だくらいに思ってらっしゃいます
どこが痛くても嬉しいはずがなく
忌々しい感覚に嫌悪感を持たれます
ところが本当に痛みを感じなかったら幸せなのかといえば
一概にそうとも言えないようです
パキスタンの14歳の少年が友達を驚かそうと
家の屋根から飛び降りました
「大丈夫だ」といい立ち上がったのですが
翌日大量の内出血でなくなったそうです
彼は生まれつき痛みを感じる能力がなかったのです
彼は無痛症という病気だったそうですが
世界中で何人か同じ体質の人がいるのですが
あまり長生きできないというのが現実です
痛みを感じないことで恐怖心がないため
危険なことを学習できないのが原因です
痛みというのは組織に何らかのダメージを受けたときにおこる反応ですが
痛みがあることでそれ以上その部位にダメージを受けることを恐れます
つまり痛みがさらなる悲劇を拒絶させるわけです
もちろん組織がダメージを受けたという事実もありますが
それ以上痛くならないための注意信号としての側面もあります
小学生の時麻酔をかけて歯の治療をしてもらったあと
口の中の感覚がおかしいため
指でいじくりまわしているうちに歯茎にいっぱい傷をつけ
口の中が血まみれになったことがあります
痛みがないから恐怖心がなくそれ以上悪くなる行為に対する抑制が効かなかったということです
実に馬鹿げたことをしたのですが痛みがないというのはそんなもんなんでしょうね
そのころに知恵があれば歯茎を傷つけることもなかったかもしれません
痛みは必ずしも悪いことではないという経験をしました
でももっと知恵があれば痛みが来る前に痛みを防ぐ手立てを考えられるのかもしれません
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