ツボがある本当の意味
問題提起や批判がないということは実に平穏なんですが
一方進化も成長も期待できずいずれは先細りするでしょう
歴史が古く伝統的なものになれば実績を盾に妄信する人も少なくありません
鍼灸はその歴史もさることながら科学的な解明が困難であり
エビデンスという点でスルーされがちな要素があります
本書は鍼灸師であり活法(武道整体)もなさる臨床家が
従来解明されていなかった経絡や経穴というものを
ご自身の仮説として様々な角度から再考察されたものです
ある意味異なる治療法からの論及は単なる批判と自分のやってらっしゃることの自慢が多いのですが
本書に限ってはそんな安っぽさは微塵もありません
むしろ鍼灸師としてしっかり古典も読み通しての考察は驚くばかり
さらに相当深い考察から出た仮説は説得力があります
経絡は後付けのオープンソースという大胆な仮説は
経絡重視の鍼灸師からは批判もあるかもしれません
私は門外漢ですのでここの理論が正しいのかどうかわかりませんが
鍼灸師の先生方が読まれたらさぞかし驚かれることでしょう
あるいは従来の考え方を信仰されている先生は一笑に付されるかもしれません
そして鍼灸であろうが他の治療法であろうが
一番大切なのは人の身体をどう読み解くかだと思います
その点に関しては筆者の身体観はとても参考になり
私も覚えておきたい項目がたくさんありました
敵を知り己を知れば百戦危うからずといいますが
筆者なりに身体のことを知り鍼治療のことをご存じだとお見受けしました
私が患者であればこういう術者のお世話になりたいものです
200ページ足らずの本でさほど情報量は多いとはいえませんが
書かれてある内容はすごく濃厚です
久しぶりに興奮しながら読みました
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