愛と怒りの行動経済学
愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める エヤル・ ヴィンター
ちょっとチャラい感じがするタイトルですがれっきとした学術書です
サブタイトルの「賢い人は感情で決める」というのも雰囲気はよく出ているとは思いますが本書が言いたいこととちょっとニュアンスが違うように思えます
Why our emotions are more rational than we thinkという英語のサブタイトルは「なぜ感情は思考よりも理性的なのか」ってところでしょうか
要するに我々が理性で出したと思っている結論の奥底には意外と感情が働いているというのが本書のポイント
今まで抱いていた「理性」と「感情」のイメージとはずいぶん違ったので興味を持ちました
「行動経済学」という学問があること自体初めて知りました
人間だれしも感情的になって失敗して後からもっと理性的になればよかったと思うことってあるでしょう
だから感情的になることがよくなくて理性的なのがいい
そんなステレオタイプの考え方もしていましたが
悪いのは行き過ぎた感情であって感情自体を否定することはできないというのがよくわかりました
それより興味深かったのは英文のサブタイトルの通り
冷静に合理的な答えを出したつもりが潜在的な感情がバックボーンにあるということ
愛、音楽、芸術、小説、映画など多くの文化は感情に訴えかけています
人間が感動するのも共感するのもこれすべて感情の部分です
人が人として生きる上で必要不可欠な要素であるがゆえにそれを消し去ることができないことを知りました
「行動経済学」とは経済学の数学モデルに心理学的に観察された事実を取り入れていく研究手法とウィキペディアにありましたが人の心をそういう分析をすることに斬新さを覚えました
ひたすらに多くの研究結果が紹介されてあり読んでいていささか単調に感じましたが解説も含めてなるほどと思うことばかり
今までとは違う角度から人の心理に触れたような気がしました
難しい本でしたが面白かったです
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