体液
成人男子の体内は約60%が水分です
ほとんど水浸しみたいな状態で存在する我々人間には欠かせないのですが
無意味に水で膨らしているのではなくて
それぞれが重要な機能を果たしています
体液には血液・リンパ液・組織液・体腔液の4種類があります
尿や涙や消化液などは広義では体液ともいえるそうですが
生物学的には循環系の4種類だけを体液というそうです
例えば血液は酸素や栄養素を供給し二酸化炭素や代謝老廃物を運び出すという作業などをします
血液の流れが止まれば死ぬことは皆さんご存知ですが
止まらなくても動きが滞るとそこの部分は機能障害を起こします
簡単に言えば疲れが取れないわけですから動けなくなります
またそれぞれの細胞にまで毛細血管が伸びているわけではなく
細胞にまでたどり着くには間質液(組織液の一つ)を介して輸送作業が行われます
体腔液というのもあまり聞き馴染みのないワードですが
クラニオワークでよく出てくる脳脊髄液や
関節内に満たされている滑液なんかがそうです
脳脊髄液の循環が悪いと神経障害が起きたり
滑液が不足すると膝にヒアルロン酸の注射をしてもらったりします
どれもこれも円滑な生活を送るためには正常な循環が不可欠であることは今さら申し上げるまでもありません
私たち手技療法は骨のズレを治したり
硬くなった筋肉をほぐすことがイメージされがちなんですが
実際問題体液の循環はこういったことの大前提となります
筋肉が硬くなる(こる)というのも元々の原因は
血液などの循環さえ充分であれば
時間とともに元通りにしてくれるのもなんです
一日働いて疲れ切っても寝ている間に疲労回復の作業をしてくれるはずなんですが
循環器系の滞りがブレーキとなって回復の妨げとなります
だから世間でいう「ほぐす」という言葉もこういった循環器系の道筋を確保して
自分で治ろうとする能力(自然治癒力)を回復するの我々の施術の本質であったり
一番最初にすべきことなんだと考えています
近年話題の筋膜リリースでも単純に筋膜をほぐすという感覚ではなく
むしろ細胞間に流れる間質液の流動性を確保するということが作用機序であると
外国の学会でも言われていると聞きました
因みに老化してくると60%程度あった体液は50%ほどに減少します
年をとり身体が次第に動かなくなってくるという現実の裏側には
体液の問題が潜んでいます
膝が痛いといって病院でヒアルロン酸の注射をしてもらうのはそういった現象の一つのパターンなんです
私が激しい運動をしようとしても心拍数が上がらず息が切れてしまうのも老化の一つ
血管が硬くなり血液が流れにくくなり血圧を上昇させて無理して流そうとするのもよくあること
体液の問題はあまり知られてはおりませんが
けっこう重要であることには違いありません
世間ではあまり話題にはなりませんが
私が最も重要視するものの一つが体液の循環です
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