基礎から学ぶスポーツセルフコンディショニング
いつもお世話になっている西村典子さんが書かれた本です
どんなに実力のあるプレイヤーでも
コンディションによっては力が発揮できないこともあります
そしてまた鍛えていく段階で厳しい練習・激しいトレーニングをするにおいて
やはりコンディションが整わなければ力をつけることが叶わないばかりか
ケガをして競技ができないことすら少なくありません
力をつけるにしても、実力を発揮するにしても
プレイヤーのコンディションは前提条件となるわけです
「いい練習」をするため「いいプレー」をするために
普段からやるべきことがこの一冊に集約されています
最初、読んで感じたのはこの本はかなり専門的な内容であり
最新の知見が満載であるということ
それなのに小学生でも理解できるのではないかと思うほど
わかりやすく丁寧に書かれていることに驚きました
どうも専門家って人種は難しいことを難しく言って
自己満足に浸るケースが少なくありませんが
長くトレーナーを続けてきた彼女は
決して専門家ではない学生の選手たちに自分の考えを伝えるという作業をずっとなさってきたわけであって
よりわかりやすく選手たちが納得して実践できるための伝え方を身に着けておられるようです
自分の書いた文章に自己陶酔して
読み手を置き去りにすることがちょくちょくある私なんかとは大違い
あくまでも選手に伝わることを一番に書かれた大人の文章だと感じました
選手が一番実力を発揮できないのがケガ
だからケガの予防に対しても多くのページが割かれています
具体的にどんなケガが起きて選手の体に何が起きるのか
場合によっては命にかかわる場合もあり
予防法・起こったときの対処法・ケガをしてから競技復帰までの道筋
必要なことはすべて書かれています
そしてコンディションを整えるために普段からどんなことをすべきか
注意点やトレーニング方法の詳細が記されています
トレーニングだけではありません
食事・栄養・疲労回復などありとあらゆる知識がこの一冊に詰まっています
いわばコンディション作りの教科書になる本だといえるでしょう
この本のいろんなところに登場するのは読売ジャイアンツの菅野智之選手
彼もまた西村さんのお世話になった選手の一人
他にもプロ野球界で彼女がかかわった選手は多数います
冒頭に菅野選手の考え方が紹介されていますが
「全力を出し切らない」とか世間一般の常識とはちょっと違った発想で
自分自身のコンディションを維持されています
「手を抜く」というのとは全く違います
一年間投げ続けてチームを優勝に導くために何が必要なのか?
それを自分で考えて自分の体に向き合う
決して人任せにするのではなく己自信を知るという点ではフツウの選手とは違う着眼点をお持ちのようです
以前ソフトバンクホークスの工藤監督の本を読みましたが
似たようなことが書かれていました
超一流プレイヤーが何を考えているかに触れられるのも本書の面白さであり
それを実際に行動に移すためにどうすればいいかがそれ以降に書かれているという構成になっています
多くの学生スポーツのアスリートは指導者の指導の下普段から頑張っておられます
それはそれでいいことなんですが
人の意見だけではなく自分の考えで何をどうすべきか決められるのも
一流アスリートになれるかどうかの分かれ道になってくるでしょう
高みを目指したい学生スポーツ選手には一度読んでいただきたい本です
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