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2018/10/30

自傷・他害・パニックは防げますか?

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自傷・他害・パニックは防げますか? 二人称のアプローチで解決しよう! 
廣木道心・栗本啓司・榎本澄雄

私自身はそういう場面に遭遇したことはありませんが
施設の職員や親御さんから幾度となくそういうお話を聞きました
自閉っ子がパニックになる場面で攻撃性を持つ場合は厄介です
誰かが傷つく可能性があるわけですから切実な問題であることには疑いの余地はありません

本人もパニクって暴れるのにも理由や原因があり
力づくで制圧することが最善の方法ではないことが本書を読んで理解できます
それでも放置することで生じる結果は傷害そのものであるから何らかの手は打たないといけません

自閉っ子の本は今まで何種類か読んではきましたが
本書は画期的であり、関係者にとっては切実で重大な問題に対する福音となるべき一冊だと思います

ご縁があり著者のお一人廣木道心さんとは7月に出会い
少しだけお話を伺うことができました
廣木さんは武道家でいらっしゃいますが
自ら考案された「護道」とは読んで字のごとく護るための武道
決して勝つことを目的とするのではなく引き分けることを目的とするそうです

パニックになり襲い掛かる自閉っ子を傷つけることなく
そして自らも傷つくことなく
理想をパニック状態から落ち着てもらうこととします

こういうケースでは勝者は必要ないというわけです
今まで具体的に対処する方法がないため
無視するとか放置するとかというムリのある方法論を説かれる方もいましたが
上手く治め誰も傷つかなくていいならそれが最上の方法だと言わざるを得ません
その内容はぜひ本をお読みいただいて習得していただきたいと思います

本書はお三方の共著という形式になっておりますが
それぞれ異なる視点からこういう問題に向き合えるのは
問題を一元化しがちな傾向を変え
多角的な視野で検討している点で興味深いと言えます
学者先生のお話しではなく現場に携わる人たちのお話しですからすごく説得力を感じます

本文中栗本さんが「発達凸凹の人は遅筋があまり育っていない」というお話をされていますが
このくだりは私も同じことを以前から考えていました
但し発達凸凹の方だけではなく
いわゆる体制機能障害がある人のほとんどが遅筋が使えない
あるいは筋力低下、筋拘縮があると見ています

私のいい方に変えますと速筋・遅筋ではなく
姿勢筋と相動筋といういい方になるのですが
元々遅筋は姿勢維持を目的とする筋肉に多く
動かせるための筋肉は速筋がの割合が多くなります

結局栗本さんも同じことを言われていますが
姿勢を適正に保てないため動きにおいて無駄な動きと不要な労力が要ります
たいてい運動選手など過剰な運動で機能障害を起こす人以外は
ほとんど脊柱起立筋や大腰筋、ハムストリング、ヒラメ筋、梨状筋など
主要な姿勢筋に筋拘縮が発生し
不適正な姿勢からの動作は不適切な運動プログラムを生み出し
結果的に相動筋に障害を発生させる場合もありますが
根本の問題は姿勢筋、つまりは遅筋に問題があると考えています

幾度となく似たような発想をする人だと思っていましたが
今回も興味深い部分がいくつもありました

私個人の興味で言えば護道のもっと踏み込んだ部分まで解説があればありがたかったです
紙面の都合もあるんでしょうが「さわり」の部分の紹介という印象をもちました

半分近くを占める業界に対する問題提起やご指摘などは
また別の本で徹底的に提言していただいて
本書ではもう少し深いところまで踏み込んだ護道を見てみたい気持ちが強くなりました
おそらく現場では切実な問題であるはずですから
余計にそう感じたのかもしれません

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