日本人の美意識
著者ドナルド・キーンは当時アメリカの日本文化の研究科
後に日本に移り住み現在は日本国籍を得て今もご健在だそうです
例によってネタの収集目的で読んだ本ですが
日本文化や日本文学の研究に関しては外国の方が書かれたものとは思えないほどのきめの細かい研究振り
日本人の研究家の中でもそうとなレベルにいらっしゃるんじゃないでしょう
日本の文化勲章を授与されたというのも頷けるところです
私らなんかは日本のことをあまり知らないことを痛感します
以前ベネディクトの「菊と刀」を読んだことがあります
こちらは日本人の研究がメインであるとするならば
本書は文化をいうものを通して日本を研究しているという比較が正しいかもしれません
古い歴史の中で日本人に根付いた価値観というものがあります
戦後欧米の影響を受けて我々の生活様式や考え方はずいぶん変わってきました
しかしながら基本的に他の民族の影響受けることなく独自で育て上げてきた日本人の価値観はそう易々と変わるものではありません
金髪に染めながらハンバーガーを食べている若者でも
周囲の空気を読み行動する日本古来の村社会の価値観はいまだに残っています
あくまでもこれは私の考え方にしかすぎないのですが
いにしえの日本文化の価値観は今も脈々と我々の血液に流れている
本書を読んでそう確信した次第です
グローバル化で日本が欧米のような価値観を持つのは
何百年も先のような気がします
私の考えはともかくとして
平安時代の和歌とシェークスピアとの比較において
日本人が何を良しとするかという試みもなかなか思い浮かばないでしょう
「滅びの美学」というのは言われてみてなるほどって思いました
現存するものの価値を評価する西洋に対し
生まれてから滅びるまでの時系列を想像し
滅びさえも美しいと評価するからこそ
我々は桜を愛するのでしょう
外国の人に言われて初めて気づくのもお恥ずかしいですが
それでも教わったわけでもないのに日本人に刷り込まれた価値観は
もはやDNAと言ってもいいかもしれません
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