リラクゼーション
普段仕事をしていて一番厄介なケースは
クライアント自らが力んでしまって弛緩できない場合
たいていの方はストレスが日常的にかかり
無意識のうちにごくわずかな力が入っています
何が問題なのかといえばわずかな力みゆえに
本来はストレスがなく力を抜けばいい場面でも
ずっと力が抜けず本人もそれに気づかないもんだから
何年も何十年も力みっぱなしという方が多いのです
「雨垂れ石をも穿つ」といいますが
ほんのわずかな力でも長年入り続けると
ちょっとやそっとでは弛緩しません
一時的な筋緊張でしたら私が使える技法であっさり解決できるのですが
長い時間をかけた拘縮や硬結は単純に取れるものではありません
しかもずっと力が入り続けた状態であれば
いくらかマシになってもその時点から再び悪い方向に向かいます
これではいたちごっこが延々と続くだけ
いつもご本人にはそのことを説明して
力を抜くように言うのですが
無意識でやっているからどう力を抜けばいいのかがわからず
途方に暮れることも少なくありません
それでも根気よく力が入っている状態を説明して
力の抜き方も解説して
本人にもそれを根気よくやっていくと
次第に力が入っていることに気づき
今度は力の抜き方も理解してもらえるのです
まあ、だいたいこのパターンは数年の年月を必要とします
もっと効率のいい方法を模索する中でこの本に行き当たりました
筆者は臨床動作法の創始者
臨床心理学の世界ではもっとも有名な方です
本書は動作法のお話を素人にでもわかるように解説したものです
さすがに心理の世界では第一人者でいらっしゃって
私の抱える悩みの問題点を整理して解説されておられます
臨床動作法はその方法論の中に
力が入っていることを認識させつつ
力を抜くための道筋を動作の中から導いておられるようでした
クライアントの知覚に働きかけ
自分自身の緊張を悟らせる手法は
我々手技療法の世界ではあまり見ません
そこから身体に対するコントロールを取り戻すのはさすがです
心と身体は不可分一体であることの証明だと感じました
なにせ専門家向けの本ではありませんので
詳しい技法の解説は乏しいです
我々が実際に扱うややこしいケースまで対応するのは難しいかもしれません
この先生は臨床心理学は専門でいらっしゃいますが
五十肩や腰痛自体にはあまりお詳しい印象はありません
わりと単純なケースを例として挙げられてますが
現場になれば心理の問題だけではなく
それ以外の要素も絡むわけで
正直これだけでは使えないなという印象が残りました
まあ、心理の問題に特化して手法ですから
それ以外の要素を含めると収拾がつかなくなるでしょうしね
例えば五十肩なんかでもインピンジメントや炎症
あるいは関節内の石灰化なんて現象がよくあるのですが
こういう問題が絡むと手も足も出なくなる場合もあるでしょう
腰痛の解説でも実際に激しい痛みを抱えている人に
身体を反らせるのは危険も付きまといます
総論部分では同意できますが
各論部分ではツッコミどころも少なくありませんでした
あくまでも動作法のさわりの部分だけなんで
私の意見は当たらないかもしれません
もっと専門的な本を読んでしっかりと勉強してから
アレコレ言った方がよかったかもしれません
結局いろんな角度から見て
その時々に適したアプローチをするしかないわけですが
アプローチ法の一つとして上手く組み合わせることができれば
もっと広がりが期待できそうです
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コメント
こんにちは、吉田歯科医院です。
現在自院で行っていることが冒頭の部分となります。
軽い咬み締めという無自覚、無意識の行動が、カラダに過剰な負荷となって歯と口の健康を損なっているのです。
いかに、この咬み締めを認識して、自ら改善していくかを述べたのが自著書です。
多分、認知行動療法の応用になるのだと思っています。
行動認識後に、処置が行われると改善が速く、再発しにくくなると思います。
投稿: 鳥取県吉田歯科医院 | 2017/09/26 20:46
先に読まないといけない本が数冊ありますので
吉田先生の本はチラッと見ただけでまだ読んでいませんが
上と下の歯の隙間という話は非常に興味深いものを感じました
先ずは力が入っている状態を認識してもらい
その上でリラックスした状態を経験してもらい
そこからさまざま方法でリラックスを経験してもらうようにしています
その中で咬合の大きな可能性を感じました
すべては全部読んでからですが…
投稿: ひろ | 2017/09/27 08:17
咬合に可能性は有りません(笑)
上下の歯の隙間、咬み合わせない事に未来があります。
ご意見をゆっくりお待ちします。
投稿: 鳥取市青谷町 吉田歯科医院 | 2017/09/28 09:29