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2017/08/15

イップス

最近、阪神の藤浪投手や巨人の澤村投手がイップスだとかいう報道もあるようですが
たぶん裏も取らない憶測の記事なんでしょう
もっとも確認に行っても正直に答えてくれるはずもありませんけど
無責任に騒ぎ立てて記事にして利益を出すのが商売ですから
話し半分くらいに聞いておくぐらいでないといけません

ところでイップスというのはたまに聞きますが
精神的な原因で可能だった動作が思うようにできなくなる障害をいいます
どちらかといえばパワーにかかわる問題ではなく
コントロールにかかわる微妙な動作ができなくなります

元々はゴルフのパターができなくなることをイップスと言ってましたが
ゴルフ以外のスポーツでもイップスが言われるようになりました

コントロールを重視する動きは
細かい動作を要求されますが
コントロールを得るために反復継続してその練習をします
そしてコツをつかむと意識することなく勝手に身体がその通り動くようになり
考えることなく無意識にその動作ができるようになります
「身体で覚える」というやつです

このプロセスは何度も繰り返し練習することで
シナプスが連結したりして神経回路を変化させ
新たな動きに対する機能を構築し保存することをいいます
「シナプスの可塑性」とか「神経の可塑性」などと呼ばれます

要するに脳の中に新しいプログラムが組み込まれたことになります
だからいったんインストールされたプログラムを起動させると
半ばオートマチックで処理してくれるようなものです

例えば初めて自転車に乗るときは
そのプログラムは形成されていないので
自転車になることはできませんが
練習しているうちに脳の中に新たなプログラムを作り上げると
あとはずっと自転車に乗れるようになります

これはどんなスポーツでも新しい動きは何度も繰り返し練習することでのみ会得出来ます
魔法のような都合のいいことで構築することはありませんし
根性や気合をもってしても不可能です
メンドクサイですが一つのことを繰り返し繰り返し練習するだけです
もちろんそのときに正しくない方法で練習すればどうなるかは考えるべきです

そうやって努力して会得したプログラムも
緊張しすぎたり失敗がトラウマになってしまって
不安緊張状態が高まると身体の機能も興奮しすぎて
冷静沈着さを必要とするコントロールにかかわる動作に邪魔が入ります

そうなると今までできていた動作も正確に再現できなくなり
さらに考え込んでしまいます
無意識でできていたことが再び意識の上に戻ってしまいます
そうなると最初にプログラムされたこととのズレが発生してしまうと
泥沼状態に陥ることもあり
シナプスの閉鎖回路が形成されたりすると
さらに厄介な状態に陥ることもあります

イップスから抜け出すためにいろんな方法が言われていますが
これといって決め手になる方法はありません
むしろそのプレイヤーに合った方法を選択し気長にやるしかないようです

せめて無責任に騒ぎ立てるのはやめてもらいたいものです

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