ここ数年間、施術のキーワードの一つとしているのが「気持ちいい」
どうせ施術してもらうんだったら気持ち悪いよりも気持ちがいいに越したことはありません
以前に精神科医の神田橋條治先生の本を読んだのですが
そこに「気持ちいい」という状態のメカニズムが書かれてありました
気持ちいいという状態は身体の内側に意識が向いていることであり
脳が身体の内側に対し状態を把握しようとしだすきっかけになるとありました
ご存じの通り人の身体にはホメオスタシスによる自然治癒力があり
身体の悪い部分があれば修復しようとするのです
ところが身体の外側の事象にばかり気を取られていると
脳は外側の身体活動に対してウェートを置き
身体の内側で行われる活動がおろそかになることもあるということです
もちろん身体には許容範囲というのがありますので
多少の無理なら許されるのですが
無理の量や質、あるいは期間の長さによっては
身体を元通りにする機能が低下した状態だと
何らかの支障をきたすこともあるのです
先日大阪市大の梶本修身先生の本を読んでさらに納得したのは
我々が感じている疲労の正体は脳の疲れであったということです
しかもそれを掘り下げるともっとも疲れるのは自律神経であるということ
私も含めて多くの人が「頑張る」をキーワードにして
日々の生活や仕事をより良いものにすべく
それこそ「頑張って」いるわけなんですが
これも一定の限界を超えると疲労感を感じなくなるそうです
それが長期に及ぶと疲労死につながるという内容でした
ここで私の中の神田橋先生のご意見と
梶本先生のご意見がピタッと重なったわけです
人の身体を病むものの原因として
こういう脳のメカニズムが大きくかかわってくることに
少なからず感銘を受けたわけです
もちろん病気には様々な原因があります
細菌やウィルスに冒される場合も数多くあります
生活習慣によって次第に身体の機能が低下することが原因である場合も多いです
その中の一つの要素としてこういう脳のメカニズムもまた
現代人の病を見つめなおすフィルターの一つになりうると考えます
「気持ちいい」という状況を導くには何らかの外的な要素が必要です
ストレッチなどで身体を伸ばすのもいいでしょう
縮こまった身体がその時初めて認識できます
お風呂に入って温まるのもそうです
気持ちいいと感じるのはそれだけ身体が冷えているということ
マッサージや鍼灸などでツボを刺激してもらって気持ちがいいというのは
そこに関係する部位が弱っているということ
ともすれば「気持のいい」というのは慰安目的であると
低く見る同業者の方もおいでですが
「気持のいい」状態を感じることが
脳に対し内なる意識を持たせるのには
有効な手段だと言えそうです
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