膝窩筋
(図:身体運動の機能解剖より)
膝の構造は複雑で伸展・屈曲が機能の中心となりますが
ほんの少しだけ回旋運動もします
それにお気づきの方はあまりいらっしゃらないでしょうが
この膝窩筋が内旋する役割を果たします
ただし単独で内旋をするというのではなく
半腱様筋、半膜様筋、縫工筋、薄筋らと共同して内旋します
ところが膝窩筋を除いてはすべて二関節筋といって
二つの関節をまたぐ筋肉ですが
図をの通り膝窩筋だけは単関節筋です
膝関節は最終伸展時にスクリューホームムーブメントといって
わずかに脛骨が外旋をします
その状態が膝関節にとって一番安定した状態となります
クローズパックドポジションと呼ばれるこの状態は
関節にロックがかかったような環境で
膝窩筋はそのロックを外すために下腿を内旋させる
いわば鍵のような役割を果たします
この作業がスムーズに行われて初めて
安定した伸展・屈曲が可能になります
先ほど半腱様筋・半膜様筋・縫工筋・薄筋も下腿を内旋する筋肉として挙げましたが
膝窩筋同様これらも下腿の内旋をするので
これらの筋肉によっても膝関節の屈曲・伸展にも影響があるということになります
ということは股関節に何らかの問題がある場合膝関節に影響を及ぼすわけです
だから膝関節の伸展・屈曲の問題において
分けて考える必要があるのは
股関節にかかわる問題からの影響を受けているか
あるいは膝関節単独の問題点であるかどうかということです
私の経験則ではどちらかが単独で膝関節に影響しているケースはむしろまれで
多くの場合、複合型が多いという認識です
一応股関節からアプローチして
それでも変わらない場合膝窩筋に問題があると判断してはいますが
最初にどちらかに問題があったとしても
当然膝関節の動きに大きなストレスとなりますので
痛みが発生する段階では両者にも問題が生じているのでしょう
原則としては膝関節の伸展制限は前面の筋肉の問題
そして屈曲制限は後面の筋肉の問題
単純にそう捉えていますが
スクリューホームムーブメントという独特の動きを考えれば
膝窩筋という小さな筋肉も無視できない存在になってきます
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