自閉っ子、こういう風にできてます!
自閉っ子、こういう風にできてます! ニキリンコ, 藤家 寛子
整体の仕事をするとき解剖生理学や運動生理学を勉強しました
驚いたのは「歩く」という普段何気なしにしている動作を
細かく分析していると気が遠くなるほど様々な筋肉が作用し
多くの関節を動かしていることがわかりました
身体を支える、足を上げる、前に出す、着地する、支えていた足で地面を蹴り、体重移動をする
多くの作業をこなすことでようやく一歩前に移動できます
これらの作業を一つずつ確認しながらやってたら
歩くことがきっと嫌になるだろうと思ったことさえありました
しかも力加減を上手く調節しないと
不安定な二足歩行をしているわれわれ人間は
あっという間にバランスを崩してしまうというリスクもあるわけです
こんな恐ろしいことを意識することなくやっていることに
深い意義を感じずにいられないのですが
この本を読んで現実に私が恐怖したことを
実際に味わっておられる方がいることに
多くの感情と感想をいだきました
アスペルガー症候群のニキリンコさんと藤家寛子さんのお二方と
出版社の浅見淳子社長とのトーク形式のこの本は
具体的にお二人の自閉症の現実を紹介したものです
様々な自閉っこがいる中でたったお二人の事例で
全てが見えてくるわけもないのですが
逆にお二人に絞り込んだ実話に生々しさというか
お二人の生活や世界観が具体的に胸に突き刺さるような内容です
冒頭に書いたようなことを一歩一歩確認しながら歩かれているというのは
想像しただけでも大変なことでしょう
お二人のお話に出てくる世界観は
定型発達の私にはわかるはずもありません
だから思いっきり想像力を働かせて
自分がそうなったらどんな感じなんだろうと
イメージして読んだら、無茶苦茶しんどかったです
本を読んでこんなに疲れたのは初めてかもしれません
自分の発想にはない世界ゆえに
「わからない」で済まされるのはわかります
しかしお互い前に進むためには
想像の中だけでも彼らと同じように一歩ずつ足を運ぶしかないのかもしれません
今、この本を評論することはやめておきます
いや、したくないのです
でももっといろいろ知りたいことができました
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