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2016/11/09

低体温Ⅱ

低体温症に気をつけろ<上>万病につながる危険因子

◆体の深部と皮膚の温度は違う

 低体温という言葉自体は、よく知られていると思います。それは、単に体温が低いことだと思っておられるかもしれませんが、正確ではありません。寒い季節に体が冷えると調子悪いのだが、よく原因が分からないという人は、低体温が原因の一つになっている可能性があるのです。

 そもそも、本人が「自分の調子が悪いのは低体温のせいだ」と自覚している人は非常に少ないのです。人間の体温は、36.5度のプラスマイナス1度が正常値とされていて、下は35.5度から上は37.5度の間であれば正常ということになります。

 しかし、体温は人それぞれですから、体温計で測っていても、低体温であることに気付くのは難しい面があります。体温計そのものの癖もあるので、ある体温計で測ると36度なのに、別の体温計で測ると37度ということもあります。ですから、低体温症は数字ではなかなか分かりません。

 体のどの部分を測るかで、温度が違うということもあります。体の中の温度と皮膚の温度は違います。「風邪をひいて熱が出た」という時の体温は、皮膚の温度を指して言っているわけですが、病気と関連してくる体温とは、体の芯の部分の温度なのです。これを、「深部体温」と呼びます。

 僕たちのような外科医ですと、手術後の患者さんを診るとき、鼻から喉にかけてチューブを通し、胃袋まで入れてその温度を測ったり、あるいは、肛門の方からチューブを入れて直腸の温度を測ったりします。いずれも深部体温を測っているわけですが、一般的にはふだん、深部体温を測ることはありません。

◆深部体温低下で臓器の機能不全

 低体温の怖さは、低体温が原因で病気になっていることに本人が気付いていないことです。病院に行って血液検査をし、心電図をとって、いろいろ調べてみても、体調の悪さの原因が分からない、そんな時は、低体温を疑ってほしいと思います。

 冷たい水に手を入れると、冷たく感じますが、だんだんその感覚に慣れてしまいます。ところが、水から手を出すと、指の動きは悪くなっている。低体温の問題は、これと似ています。体の中で低体温になると、肺、心臓、肝臓、腎臓などの機能が低下してしまい、知らず知らずのうちに体の中のバランスが悪くなり、臓器の機能不全を引き起こすのです。

 低体温は、免疫機能の観点からも問題です。体の中で一番大切なのは、毒物を解毒して代謝することです。そのためには酵素の働きが重要ですが、低体温によって酵素の働きが低下してしまうのです。ばい菌が入ってきても、それをやっつける力、分解してなくしてしまう力が衰えてしまいますので、免疫力が落ちて、病気にかかりやすくなります。

 外科医としての経験から言うと、健康な人に比べ、がんの患者さんたちの体温は低めです。もちろん、本人はそのことに気付いていない。

 僕のところで扱ったいくつかの症例をもとに詳しくみていきましょう。

 図1の女性は月経によるホルモンバランスの変化に伴う体温の変化を、2週間単位で経験しています。その分、男性よりも体温の変化に敏感です。女性は、不妊症と分かって、タイミング療法やホルモン療法などを続けましたが、どちらもうまくいきませんでした。

 「なんでなんだろう?」と考えて僕のところに来たのですが、僕は原因について、子宮、卵巣、体全体の機能の低下によって引き起こされたと考えました。つまり、低体温によって、酵素がきちんと働かず、ホルモンのバランスを悪くしているのではないかと考えたのです。

 便秘も、低体温が原因だと疑われます。腸の動きが滞ると便秘になります。もちろん、逆にお 腹なか が緩くなってしまう方もいるのですが、多くはお腹の動きが悪くなって便秘気味になるのです。

 体温と睡眠は無関係だ、バラバラだと考えている人は多いでしょうが、実は極めて密接な関係があります。

 小さな赤ちゃんが眠そうな様子を見ていると、手がぽかぽかしてきて、ほっぺたが赤くなって、体温が上がっているはずです。体温の上昇で睡眠が促され、その後、寝た時に、体温はすっと下がる仕組みです。体温が下がれば下がるほど、眠りは深くなっていきます。一日で最も体温が低い時間帯は朝一番であることが、それを物語っています。

 この男性は、夏も冬も手が真っ赤になっています。夏なら、太陽光線にあたって日焼けするということかもしれませんが、冬場に赤くなるというのは、しもやけによるものです。皮膚の反応が敏感なのでしょう。

 体の温度が上がりやすく、下がりやすい。そのため、外に出ると手足が冷たく白くなっていて、部屋に帰るとぱっと赤くなる。おそらく、そんなことを繰り返していらっしゃるのだと思います。

 これがなぜ、低体温と関係するのかと言えば、低体温症の人は、体に備わっている様々な体温調節の仕組みをうまく使うことができないからです。その結果、熱しやすく冷めやすい症状につながるわけです。

 風邪をひきやすいのも、低体温と関連していると思われます。子どものころ、薄着をして外を駆け回っていたら、「風邪引くよ」「体冷やしちゃダメだよ」と注意されませんでしたか。まさに、それと同じで、風邪をひきやすいのは、免疫力が低下しているということですから、低体温が隠れている可能性があるのです。

 この男性のように、幼少期にしもやけになりやすかった人は、低体温になりやすい体質である可能性があります。もちろん、体形や体質は、筋肉隆々の人、か細い人、中肉中背の人と、人それぞれですが、幼少期の状態をみると、将来、低体温になるのではないかという大体の予想がつきます。

 もっとも、そういう体質の人は、成長する間に、本人が低体温であるという自覚がなくても、防御策、予防策をほどこしている場合があります。この男性の場合も、そうした策をとっていたと推測されますが、営業職のストレスによって、深部体温が下がってしまった可能性があります。

◆冷え性と低体温の違いとは?

 冷え性の人は、それを自覚しています。手足が冷えるとか、お腹が冷えるとか、はっきりと自分で分かっている時には冷え性だと言えます。低体温は自分で分からない。そこが、冷え性と低体温の差です。

 ふつうの体温計で測っても、冷え性と低体温の違いは分かりにくいので、本人の自覚があるかないかで、分ければいいと思います。本人に「冷えている」という自覚があって、それだけで済んでいるなら、冷え性と呼んでいいでしょう。そこに、調子の悪さや病気などが伴うようなら、低体温がプラスされているのではないかと疑ってみればいいと思います。

 冷え性であっても、深部体温が標準であれば、例えば手足の冷えに対しては手袋や厚手の靴下を身に着ければ、温かくすることはできます。これは病気ではありません。ところが、冷え性であろうとなかろうと、深部体温が低くなっていると、いろいろな病気が発生してきますので、これは病気だと考えられるのです。

◆運動不足は低体温の原因に

 低体温の原因の一つとして明らかなのは、運動不足です。

 子どものころは、走り回ったり、知らないうちに汗をかいたりすることをいっぱいしませんでしたか。汗をかくということは、体の中から水分が出て、それが空気中に揮発することです。これによって体温は下がります。つまり、運動することによって、それだけ、体温が上がっていることを意味しています。

 大人になって、事務や家事などをして、子どものように外を飛び回らなくなると、なかなか汗はかきません。そうなると、体の中で温度が下がり始めてくると考えていいでしょう。

 さきほどの図2で登場した営業マンのように、精神的なストレスも体温を下げる原因になります。現代はストレス社会と言われていますので、この点も十分に注意が必要です。

 生活習慣、生活環境、生活のリズムなどが、低体温には影響しています。小さな子どもでも、受験戦争で精神的ストレスがたまると、深部体温が下がることがあります。ですから、年代や性別によって、低体温になりやすい、なりにくいということに、大きな差が見られるわけではありません。

 ただし、加齢によって、健康のトラブルに巻き込まれやすくなりますし、抵抗力が低下し、体力も落ちてきます。運動量も減る人が多いですね。そうした様々な要因が重なって、高齢者の方が低体温になりやすいリスクがあるとは言えるでしょう。

 人間の身体は生ものですから、環境に左右されやすいのです。

 例えば、空調です。部屋の温度が下がってくると体も冷えやすくなります。夏場でもクーラーのかけすぎで体が冷えると、風邪をひきます。温度だけでなく、湿度も重要です。乾燥している中で温度も低くなると、体が冷えやすくなるからです。室内にいても、体を動かさずに楽をしていると、体の熱は発生しにくくなり、低体温の原因になります。

先日低体温のお子さんが増えているという記事をアップしたら
かなり反響があったので
今日は低体温がもたらした身体の異変について
具体的な例を挙げた記事があったので
ご紹介させていただきます

かなりリアルなお話ですが
低体温はその他にも様々症状を引き起こす可能性があると言えるでしょう

そもそも体温は生命活動のエネルギーそのもの
だから体温が下がるということは
身体活動のエネルギーの減少だと言い換えても差し支えないでしょう
だから生命維持のための機能が低下するのも不思議ではないということです

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