ソニーをダメにした「普通」という病
著者はソニーの部品検査員からスタートし
現在経営コンサルタントをされています
いわば本流から少し離れていたところから
ソニーという企業の「個性」を見続け
その個性ゆえにソニーがソニー足りえたという考えに立ち
現在苦しんでいるソニーが「普通」という病に冒されている
そんな現状を分析したビジネス書です
確かに消費者から見てもソニーの製品は個性的
ともすれば唯我独尊みたいな雰囲気もあり
ファンもいればアンチもいたという企業でした
万人から愛されるというよりも
その個性に惹きつけられた信者が多かったのも
ブランドイメージの向上に役立ったのではないでしょうか?
一癖も二癖もあるソニーが次第に大企業になるにつれ
世間一般の価値観がソニーの個性をつぶしていったという
筆者の主張が一貫して書かれています
ずいぶんちっぽけではありますが
私も整体院を経営する立場
開業するときに他所と同じことをやってたら潰れる
皆に愛される整体院よりも他所にはない個性で
1%程度でいいから信頼してもらえる整体院作りを目指しました
まあ、なんとか思惑は当たりましたが
これはウチの規模だから上手くいっただけの話で
大きな企業ともなるとそう簡単にいかないのが現実
筆者は本書の中でかつてのソニーが有した個性を
絶対視されていますが
時代が変わった今でもそのころのままでいけば
ソニーが凋落することなく栄華が続いたと思っておられるようです
私ごときがああだこうだというのもおこがましいですが
ソニーという独特の企業体質が時代に合わなくなったのかもしれませんし
「変わった発想」が毎回毎回ヒット商品を生み出すとは思いません
アイスキャンディーのガリガリ君もヒット作を出したり
大損をしたりしながら模索しています
本書ではウォークマンの成功体験は紹介されていますが
ベータとVHSの話には触れられていません
個性にはデメリットも内在するということを忘れてはいけません
筆者の意見も傾聴に値しますが
古き良き時代のソニーのいいところが
いつの時代も普遍的に通用するとは思えません
基本的に筆者のような発想は大好きなんですが
あまり絶対視しすぎると見えなくなるものもあるだろうと思います
「普通」というのは絶対悪ではないからです
ちょっと筆者の主観が強いものでケチをつけたくなりました
まあ、私も変わりもんですからご容赦いただきたい
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