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2016/06/14

腸脛靭帯

Img019(画像:動きの解剖学Ⅰ)

近頃、腸脛靭帯がえらく緊張している人が何人も来られます
天候気候に変動があったとき
来院者の数は一気に増えるのですが
いつも不思議なことに似たような身体の人が連続してこられます

ヨーロッパの方では気象と医学を関連付けて研究されているところもあるそうですが
人の身体も自然の一部分にすぎないということを思い知らされます
逆に人間が自然から離れた特別な存在であるかのような思考はある意味傲慢ではないとか考える次第です

それはさておき
腸脛靭帯は腰痛関連では重要なウェイトを占める部位です
その名のごとく腸骨から脛骨に続く長い靭帯です
腸脛靭帯には2つの筋肉が付着して
前方からは大腿筋膜張筋
後方からは大殿筋が付着します

上の図の通り前と後ろから引っ張られる形になっています
これらの筋肉が緊張すると受動的に腸脛靭帯は緊張を強いられ
大腿部の外側を触ると緊張が認められます

有名なところで言えば「ランナー膝」
腸脛靭帯が引っ張られることにより
停止部の脛骨のGardy結節に炎症が発生します
過度な緊張で骨にあたる部分に滑走性がなくなり
炎症を起こす症状です

結局大殿筋や大腿筋膜張筋が拘縮すると
その負担が腸脛靭帯の付着部にかかるわけです

元々大殿筋は腰痛関連に筋肉として有名です
大腰筋との関係において双方が並行して拘縮に向かうようです
説明において筋膜の連続性と捉えられる方もいらっしゃるようですが
両者の間には直接の接触はありませんので筋膜の問題ではなく
大腿骨の運動において拮抗関係があることから
運動力学的な問題で両者が緊張すると私は考えます

『筋膜の連続性』という概念をそういうものも含めてと考えられておられるかもしれませんが
私個人の見解としてなんでもかんでも筋膜の問題にする風潮には懸念を抱いております
なんとなく雰囲気のまま(ノリで)筋膜の連続性の問題にしてしまうべきではなく
細やかな分析も必要だと思います

臨床上、腸脛靭帯の弛緩というのは厄介だったりしますが
根本的に腸脛靭帯自体の問題ではなく
大殿筋であったり大腿筋膜張筋であったり
あるいは大腰筋との関係性の中でアプローチしていくことが必要だと思います
さらに腸脛靭帯のの深部を走行する外側広筋との間で
筋膜の癒着が認められるケースも多々ありますので
チェックポイントをいくつか分けて考えることも必要です

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