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2016/06/27

筋・筋膜性腰痛

腰痛とひと言でいってもいろんなパターンがあります
実はその大半が原因不明であるといわれています
病院でレントゲンを撮ってもらっても
それでわかるのは骨のことだけ
MRIでも筋肉などは写りますが冷えているとか緊張しているというところまではわかりません
画像所見は外傷がある場合には有効ではありますが
機能面に関しては得意分野ではありません

だから身体の中で何が起こっているのか?
本当の事実が解明されるケースは稀だったりします

決して病院でなさることにケチをつけようというのではありません
医学にだって限界というものがありますし
エラそうに言う私だってわからないことの方が多いのも正直な話

今回、話題にする筋・筋膜性腰痛も判断の難しいところ
スポーツ選手が疲労がたまり筋・筋膜性腰痛という診断がくだるのも
画像所見でヘルニア等の異常が見つからない場合
消去法的に筋・筋膜性腰痛と言われる場合もあり
動かぬ証拠があって判断されるわけではありません
もちろん何の根拠もなしにというのではなく
ガイドラインに沿って判断されますのでそれはそれで問題ありません

今、我々の業界で流行りみたいな扱いを受けるのが筋膜
筋膜とはザックリいえば筋肉を取り巻いている膜
筋膜の役割に関してはいろいろとありますが
筋・筋膜性腰痛に関連して重要なのは足にでも腰にでも
一箇所に複数の筋肉が異なる動きをする中で
一番厄介な問題が摩擦
筋膜や他の組織が擦れあって熱を生じたらその部位は熱を持ちます
それが炎症の原因ではないでしょうか?
これはかなりマズイのです

それを防ぐために筋膜はコラーゲンとエラスチンを材質とします
これらが網目状に紡がれ網目にはゾル状の細胞間基質が存在し
筋膜をヌルヌル状態に維持します

魚をさばくと内臓のところがヌルヌルですが
ヌルヌルだからこそ泳いでこすれあっても滑るわけです

人間の様々な組織でもヌルヌルになっているため
筋肉同士が異なる動きをしても滑るわけです
これを滑走性といいます

筋膜の滑走性が失われるとその周辺を走る血管やリンパ管を圧迫し
筋肉の細胞組織に不活性がおきます
酸素や栄養素は供給されにくくなりますし
炭酸ガスや老廃物も持って帰ってくれませんので当然のこと

その次に起こるのは筋拘縮
筋肉が疲れ切ったときに硬くなる状態です
世間ではコリといった方が分かりやすいかもしれません

私自身もかつては筋拘縮をとることに執念を燃やしていましたが
この要素だけよりも筋膜に対するアプローチも組み合わせた方が
いい結果が出やすいことに気づき手順を変えました

誤解のないように申し上げておきますが
昨今、筋膜に対するアプローチが流行りではありますが
私自身の考えでは全部それだけで上手くいくとは思わないのです
新しい発想はとても重要ですが
それゆえに古いものが間違っているなどという考えは持ち合わせていません
古きもののすべてが悪しきものではありません
(どこかで聞いたセリフ)

だから筋拘縮を解放する技法と
筋膜の滑走性を取り戻す技法を組み合わせたアプローチをしています

そしてそういうやり方をしていて感じるのは滑走性にかかわる問題は
筋膜だけではなく皮膚などいろいろな組織にも及ぶということです

筋・筋膜性腰痛の場合
具体的にどの筋肉のどのあたりに不活性があるかを
探りだすのが一番難しい作業です

もちろんそういうケースにおいては一箇所だけということはほとんどなく
複数個所に不活性が起きることでアライメントが乱れ
症状が出るに及ぶと考えています

あくまでも私たちは手が商売道具
それを見つけ出すのは手の感覚であることが
我々の利点でもありまた問題点でもあります

難しいんですから…


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