胸腰筋膜
腰痛の人の身体を触るとほとんどのケースで
腰から背中にかけての筋肉が硬くなっています
この状態を「筋拘縮」といいますが
筋肉が硬くなると同時に縮んでしまっているわけです
腰痛にかかわる筋肉は腰背部だけでもずいぶんあります
ただ私が触った感覚でいうとそれぞれの筋肉が独立して硬くなっているのではなく
腰から背中にかけて全体的に硬くなっているような感覚を覚えます
もちろんその中でも硬さの程度は場所場所によって違い
全部が平均的に硬いわけではありません
腰背部はほとんどすべて筋肉に覆われているので当たり前といわれればそれまでなんですが
あくまでも私に伝わってくる感覚はそれぞれ独立した筋肉の硬さというのではなく
あたかも全体が一つのものになっているかのごとく感じられるのです
この二つの画像なんですが
骨格図の向かって左側の奥に肋骨から骨盤にかけて膜のようなものが描かれています
また骨格筋の図でも腰を中心に白い筋肉とは違うものが描かれています
これらは胸腰筋膜といいます
胸腰筋膜は肋骨から骨盤まで広がり体幹部を支えたり
大事な臓器が詰まった腹部を守る役割を果たしています
また胸腰筋膜は腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋・多裂筋と強調し
コルセットのような働きをし腹圧を上げ体幹の安定性に寄与します
細かいことを言い出すととても難しいく私も理解できていないこともありますが
要するに単に筋肉を包むだけの役割ではなく
体幹の身体機能に大きくかかわる筋膜であることが重要な部分です
とりわけオーバーワークになったり
慢性的な疲労があると筋肉だけではなく
この胸腰筋膜にもそのストレスはかかります
その場合腰背部にある筋肉を包括的にかかわる胸腰筋膜との癒着という現象が起きやすくなります
だから冒頭に申し上げたように
ここの筋肉が拘縮しているという触感ではなく
胸腰筋膜を介して全体が一つのものとなり拘縮しているような感覚が伝わってきます
かなりご高齢の方に見られる現象として
老化で厚みのなくなった筋肉が胸腰筋膜と癒着を起こして
薄いせんべいを触っているような触感があるときも稀にあります
こうなると一つの筋肉の問題ではなくなりますので
一箇所をどうにかして何とかなるものではありません
当然拘縮と癒着に巻き込まれた部分は血液の流れもリンパの流れも滞りますので
酸素や栄養素も供給されず
独立しているはずの筋肉の動きも癒着により滑りが悪いので
それぞれがブレーキの役割を果たします
もうこうなれば運動連鎖もあったもんじゃありません
施術も次第に困難になるのは当たり前のことかもしれません
実際このパターンになると長期戦になるのがフツウです
どうしても我々自身個々の筋肉に目が行きやすいのですが
こういう筋膜の存在も忘れてはなりません
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