月刊トレーニングジャーナル12月号
月刊トレーニングジャーナルに連載させていただくようになり早6年
自分自身の興味もアスリートの身体に向くようになったのも事実ですし
仕事自体もアスリートの需要が増えたというのも大きな変化
アスリートだから特別変わったことをするわけではありませんが
身体能力のマックスを使う競技者だからこそごまかしがきかないわけで
身体のどこかに異変があれば様々な形でパフォーマンスに影響をもたらします
また身体活動というものは多くの連鎖によって成り立つわけですから
一つの部位の異変もまた連鎖し
全く異なる部位で症状を発生させるケースが多いのです
物理的な損傷もありますが
腰痛館に来られるアスリートの多くは慢性の症状で
直接の原因となるものが不明なケースが多く
施術そのものも大事ではありますが
それ以前にそうなったいきさつの見極めが施術の大前提となります
今月の特集は「長引くケガ、古傷への対応」
本特集でもそういった「分析力」について皆さん苦心されているのがわかります
「結果」「原因」「因果関係」というのは必須要素ではありますが
それも一つに絞り切るのではなく
複数のストーリーを並べ比較考慮しつつアプローチするといった手法には賛同します
非常に興味を持ったのは「アブレスト能力(並立能力)」という概念
身体の動きの中で「力」「しなやかさ」「バランス」などの要素を同時に求める
これが最も大切で最も難しいことだと思います
筋力に劣る日本人でもアブレスト能力を高めることで
筋力に勝る者以上の動きができる
武道でよく言われる概念です
それを会得する具体的な方法論があるというのは驚きです
稽古に稽古を重ねてそういうものをつかむというのが習わしでしたが
こういった武道の本質的なことまで研究されているんですから時代が変わったとしかいえません
私個人としてもそういう研究は食いついてしまったのですが
やはりポイントは「脱力」にあるのかなと感じました
河合先生の隣接した筋のトーンの変化が筋膜の癒着を生むというお話にも興味を持ちました
私も似たような考えで筋膜の癒着に対するアプローチをしているのですが
きめの細かい解説と具体的なアラートパターンの説明はとても参考になりました
奥野先生の慢性症状が長く続く部位には異常な新生血管が生じるという知見にも驚きました
通常は血液が大量に流れることで治癒していくわけですが
それが逆に痛みを増進しているわけですから
これまで知っていたことと全く反対の現象なんですからね
今月も読み応えありです
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