« 内臓とこころ | トップページ | 五十肩 »

2015/09/01

仙骨

Sacrum
(画像:動きの解剖学Ⅰ)

よく用いる手技にクラニオワークというのがあります
日本語で言うと『頭蓋仙骨療法』となるのですが
しばしばどこかでこの技法のことを聞きこれを受けるために来院される方もいます
決まってどこに行っても症状が改善せず難儀なさっておられる方なんですが
オステオパシーの技法の中でもこれだけを独立してなさっておられる同業者も少なくありません

クラニオワークの詳しいお話はまた別に機会にさせていただくとしまして
要するに頭蓋骨と仙骨を中心としたアプローチだとご理解いただきたい

今日の話題はそんな仙骨のこぼれ話をおひとつ
英語のsacrumは「聖なる骨」という意味で
元々はラテン語os sacrumを語源とします
かつては英語でholy boneなどと呼ばれ
英語だけではなくいくつかの言語でも「聖なる骨」という意味合いで呼ばれています

日本においても江戸時代の蘭学者大槻玄澤が重訂解体新書において「護神骨」と訳し
明治時代に「薦骨」、そして戦後になって「仙骨」と呼ばれるようになったそうです

「聖なる」という形容がされた理由として
古代エジプトで再生の神オシリスに仙骨がささげられたからとか
死後朽ちるのが最も遅いのが仙骨であったからとか
仙骨が生殖器を守っているからなど
様々な説があるそうです

東洋の概念で「臍下丹田」というのがありますが
これも位置的に仙骨の中心部分
解剖学的にもちょうど重力の中心となるポイントでもあります

ずいぶん前から歩き方の研究をしていますが
たどり着いたのはやはり仙骨の使い方
おそらく身体を効率的に使うために鍵となるのがこの仙骨だったようです

逆に言うと仙骨の扱いが不適切であれば
効率的な動きは期待できないばかりか
長年かかって腰痛などの症状となって身体に襲い掛かるケースもあるのではないかと思う次第です

魂が宿るともいわれる仙骨
魂だけではなく身体機能をも左右する重要な骨なのかもしれません

|

« 内臓とこころ | トップページ | 五十肩 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 内臓とこころ | トップページ | 五十肩 »