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2015/07/06

錬身抄

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錬身抄 中村天風

日本の哲人中村天風
明治時代に今でいう軍事スパイとして大陸で活躍し
数多くの武勇伝を持つ同氏が結核を患ったことをきっかけに
インドに渡りヨガの修行を積み病気を克服
その後日本に帰り財界で活躍するも
突如社会的地位も財産も捨て実践哲学の道を歩まれ
日本でも世界にでも多くの弟子を持ち
独特の哲学を説かれました
興味のある方はウィキペデアでお調べいただくと驚かれるでしょうが
この方のお弟子さんは各界の有名人ばかりです

本書はそんな天風哲学の身体に対する考え方をまとめたものです
いわば健康本と申し上げていいかもしれません

さすがにこの方の健康感は豪快でいて本質をついているように思います
昨今特定の食べ物や栄養素の摂取を勧めるような健康法が多くありますが
「人間の肉体生命に存在する生活法則」に基づくことが根底にあります
「自然の法則に逆らわない」ということと
「肉体生命の鍛錬を持って強化する」という二本立てで進められています

この本を読むと巷の健康情報が枝葉のように感じられます
それが悪いというわけではありませんが
やはり身体が丈夫でなければいくら栄養素を取ろうと効果は期待できません

正直言ってこの本が書かれた時代が私が生まれる以前の話ですから
今の時代の常識とは異なる個所はあるもののそれ自体も瑣末なこと

さすがにヨガの修行を積まれた方ですので
呼吸法の解説は読みごたえがあります
天風氏にまつわる有名な話として
クンバハカという呼吸法の解説を弟子の藤平光一氏に否定され
その後考えを撤回されたということもありましたが
私にとってそれさえも些細なことのように思えます
世界中でヨガの呼吸法を修業される人は大勢いますが
完璧に正しい方法を習得される人がどれほどいるというのでしょう
皆が自分の身体を使い感じながら習得するのですから
そういうこともあっても不思議ではないと思います

栄養に関する記述も古いながら当時としては
これだけ幅広い分野までご存じとは驚きです

その他睡眠について、水について、運動について…
様々な分野について造詣の深さを感じずにはいられません
おそらく天風氏の周りには各分野のエキスパートがついておられたんだろうと推測できます
それだけ多くの方からの信頼を得ておられたのでしょう

具体的な方法論はともかくとして
過剰に与えられるばかりの健康情報に対する警鐘として
明治時代の単純明快で本質的な考え方に触れてみるのも悪くはありません

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