関節のあそび
人の関節にはそれぞれ可動域があるのですが
意識的に動かして動く範囲と他の力を借りて動かすことができる範囲があります
例えば膝関節なんですが立ったまま膝を曲げるとある程度のところでストップします
ところが正座して体重をかけてやるとそこからさらに曲がります
指なんかでも自分で反らすのと反対の手を使って反らすのとでは動く範囲がずいぶん違います
このように生理学的な可動域は関節の遊びとして
外部からの衝撃に対してもクッションの役割を果たしてくれます
実際に外部から動かしてみるといろいろな方向に動きを見せます
しかし筋肉や靭帯などの張力のアンバランスがあると
あそびがあるがゆえに関節のアライメントがおかしくなり
骨同士のポジショニングが変わってきます
「ズレる」という言葉がそれに当たるのですが
このような状態もひどくなると動かすときに痛みがでたり
動く範囲減少したりします
手技療法の世界ではこの関節可動域制限をなんとかしようと
あの手この手で手技を開発しました
高速低振幅で骨を動かすスラストテクニックのような技法もあれば
筋拘縮を解くことで関節周辺のアライメントを整えるような技法も多くあります
近頃では関節を滑膜性の連結と捉え
多種の関節内運動を確保することで制限を取り除こうとする手技もあるようです
昨日のお話にも共通することなんですが
次から次へと様々な角度からの方法論が現れます
どの技法がいいかという問題ではなく
それぞれのケースで何が問題になるのかで
有効に作用する技法とそうでないものに分かれてきます
だから術者の引き出しの多さと症状の本質を見極める力が必要になってくるように思います
また技術の可能性と限界を知っておくことも選択の基準になるかもしれません
世の中いろいろなことを考えつく人がいるもんだと感心せずにはいられないのですが
ボケーっと見ているだけでは進歩しません
取り入れるべきは取り入れて
引き出しを多く作らないといけません
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