作用変われば技法も変わる
一昨日ご紹介した月刊スポーツメディスンでは従来の説明にはなかった
大腰筋の作用について新しい発見が書かれていました
こういうことは手技療法にとっても大きな問題提起となります
私らが使っている技法でも筋肉の動きを利用したものが多く
筋肉の作用に合わせ技の角度ややり方が変わってくるはずです
大腰筋と大腿直筋とは股関節の屈曲で共同関係にあります
ただどの角度でも均等のパワーバランスが保たれるのではなく
股関節の屈曲のスタートは大腿直筋が強く働き
その段階では大腰筋は脊柱起立筋と共同関係になり
脊柱を伸展することで安定機能がメインになるそうです
そして股関節の屈曲位が深まれば大腿直筋ではなく
大腰筋の作用が脊柱の伸展から股関節の屈曲に変わっていきます
ということは例えば大腰筋のマッスルエナジーテクニックなんかでも
従来のやり方では大腿直筋に作用すると考えざるを得ません
もっと深い角度から開始しないといけない理屈になります
実は大腰筋のテクニックに関しては別の理由でずっと前から
深い角度から開始してたんですが
その考え方の正当性が証明された形になります
余談ではありますが私が学生のころよくやらされていた
足上げ腹筋というメニューも今ではNGとなっていますが
股関節の屈曲が浅い位置での運動は腰に負担をかけ危険だというのが
ハッキリしたイメージで見えてきました
医学の進歩というのは本当にスゴイものです
当然それに伴いトレーニングの方法も変わってきます
そして我々のテクニックも変化していく必要があります
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コメント
こんにちは。いつも楽しく拝読しております。
ルドロフ徴候、というのがありまして患者さんをベッドに端座位にさせてその位置から股関節が屈曲できなければ陽性となります。
腸腰筋が働かないので股関節を直角位以上に屈曲できない、ということですね。
これは例えば小転子の骨折なんかで陽性になります。
いっぽうマッスルエナジーテクニックを私たちが使いたくなるのは腰が伸びていない状態、つまり股関節が屈曲拘縮をきたしている状態でこの場合はトーマステストが陽性になります。
腰椎も代償的に前弯してたりします。(これは腸腰筋の緊張というより股関節の代償として説明されます)
従来型?の腸腰筋に対するマッスルエナジーテクニックで腰椎の前弯も改善しますので特に股関節を深く屈曲させることにさして意味を感じないんですがいかがでしょうか。
不勉強で頓珍漢なコメントでしたら申し訳ありません。長文失礼いたしました。
投稿: 非常勤k | 2015/04/02 10:47
とても勉強になるお話をありがとうございます
元々従来教わった大腰筋のマッスルエナジーテクニックを使っていると何度か腰痛が悪化したケースがあったので
なんとか事故を起こさないでやれる方法を模索した結果
90度の屈曲位からやることで成功率が上がったというのがきっかけでした
もちろんむかし教わったやり方で上手く行くケースもありましたので間違いだとは思いません
今回の特集では大腰筋には前部線維と後部線維にわかれていて
前部線維は屈曲を主な作用とし屈曲位の角度がある方が活動が活発になります
そして後部線維は伸展の作用があり、屈曲が少ない段階で活動が活発になるそうです
だから股関節を伸展した状態からのMETは脊柱起立筋と共同して脊柱を伸展する働きになり
強度いかんによっては脊柱を圧迫する可能性があると思いました
これにより腰痛が激しくなる方が出たのではないかと考えます
90度くらいの屈曲位だと前部線維に聞かせるMETが可能になりますのでこちらの方が有効になる事例も出てきます
実は今回の特集では腰痛を訴える人にもいろんなパターンがあることが書かれていますが
そこまで書くと長くなるのでまたお会いした機会にゆっくりとさせていただきます
どうも中途半端なお答えで申し訳ありません
投稿: ひろ | 2015/04/02 13:53