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2014/02/13

肩じゃないけど「肩こり」

「肩」という部位は胴体から腕に接している部分をいいます
関節でいうと「肩甲上腕関節」ということになり
いまさら言うまでもなく腕を動かすための重要な部分です

世間一般で「肩こり」という表現を使いますが
よくある肩こりの場所は厳密に言うと肩ではなく
首から背中、あるいは肋骨の1~2番周辺というのが症状の中心となります
実はこれらの症状を「肩」を指して表現するのは日本だけらしいんです
世界的には首や背中の症状として捉えられているそうです

きっと肩こりで多くの方が不快感を感じる僧帽筋が
肩まわり(肩峰、肩甲棘)にも付着しているのが
「肩こり」というネーミングに関係しているんじゃないかと思っています

肩こりが背中から首にかけての筋拘縮が一般的な症状なんですが
ひとつ不思議な現象があります
長時間パソコンや手作業に従事している人が
肩をこらせた時胸をそらしながら両腕を上げる動作をします
なかば無意識にやっているんでしょうが
あれが肩こりを解消するための方法であるからあんな動作をするんですね
時として人の無意識の行動には本人さえ知らない明確な理由が存在します

両手を突き上げて胸をそらすという動作は
胸部と上腕部(上腕二頭筋)に対するストレッチに他なりません
これは明らかに肩こりの発症部位とは異なります
肩こりは背部の筋緊張のはずなんですが
なぜかこの動作で伸ばされるのは前部の筋肉です

この正反対の動きの理由は肩こりの本質は
背部ではなく胸や腕の筋緊張が回りまわって肩こりを発生させているということ
考えてみれば肩こりをしやすい作業ってたいてい腕を使う作業のはず
さらに重たい腕を支える胸の筋肉も人知れず活躍していることを知っておかねばなりません
どう考えても背中の筋肉を積極的に使っているとは思えません
首の筋肉に関しては少し前かがみの姿勢で作業するとき
重たい頭を支えるという大きな役割はあります
そういう点では背中の筋肉にも同じことが言えます

これらのことから肩こりは首から背中にかけての筋肉だけがこるのではなく
腕から胸の筋肉の緊張も含めて考えなければなりません
腕から胸周りの筋肉が筋拘縮を起こすと
胸郭は収縮し肩甲骨も前に引っ張られる形になります
ちょうど猫背のような姿勢が出来上がります
前が縮むと背中側は強制的に引っ張られ受動的な緊張状態が作られます
そんな背部の筋肉は血液の流れも悪くなり
さらなる緊張を生みます

こんな風に肩こりと一言でいっても
いろいろな現象が重なり生まれてくるわけです
肩こりというのは腰痛と並んで不明の部分が多い症状です
今ここで申し上げたことでさえいくつもあるパターンのたった一つにしかすぎません

人に肩を揉んでもらうと気持ちがいいのは私も承知しています
ただそれだけで治らない人も多く
頭痛なども含めて悩んでおられる方が多いのも事実です
ひとりひとりのパターンを分析し
入り組んだ症状の原因を解析するのも大事な作業なんです


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コメント

偶然にもひろさんの仰る様な事を考えておりました。
と言っても勿論専門的な事は全く解らないのですが、最近の異様な肩と背中のコリに、もしかしたら首がこってるんじゃないかと思っただけですが。
首が何だか重だるいんですよね。
最近の姿勢の悪さ(PCや寝ながら本を読むなど)や毎日の運転などで、
首が緊張してるのがわかります。
首から上半身全体がコリコリみたいな感じなので、今日は弛緩させたくて温泉に浸かってきました。

ひろさんのお話しはとても為になりますし、
自分でも考えるヒントにもなっていて、とても有難いです。

脱力というのにも以前からとても関心をもっています。
これからも役に立つお話を聞かせてください。

投稿: ジェイ | 2014/02/15 20:55

共感していただけてありがとうございます

こんなことを考えていると物事にピントを合わせる力がつきそうな気がするんですよ
わかったような顔をしていてもそれが真実とは限らないですし
自分自身がそうやって誤魔化されるのもイヤなもんです

投稿: ひろ | 2014/02/15 22:54

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