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2014/01/22

斜角筋症候群

手が痺れるといってもいくつか考えないといけないことがあります
脳血管障害によるものもあれば糖尿病を原因とするものもあります
もちろんこんなのは手技療法でどうこうなるものでもありませんので
ただちに病院にいくべきです

こういうケースを除いてよくあるのは
頚椎から出ている腕神経叢の圧迫
頚椎ヘルニアでなくても椎間が狭くなることでよくおこるパターンです
指先に痺れがでるのですが
それ以外にも症状がある場合もあります
たとえば腕全体の血行障害や
肩から腕にかけての脈拍低下を伴う場合は
斜角筋症候群になっていることもあります

Img003
(画像:動きの解剖学)

前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋と三種類あります
この筋肉にはいろんな作用があるのですが
主に首を横に曲げる働きをします
また動くわけではありませんが
これらの筋肉がすべてわずかに収縮することで
首を安定するという大事な仕事もこなします
まだまだあります
斜角筋は肋骨に付着しますが
肋骨を引き上げる働きもあります
どんなときにそういう働きをするかといえば
全力で走った後に肩で息をしますが
そのとき肋骨を引き上げて息がたくさん吸えるようにします
そういう働きから呼吸補助筋という位置づけもされています

Img002
(画像:月刊スポーツメディスン152)

話をもとに戻しますと
鎖骨下動脈と腕神経叢は前斜角筋と中斜角筋の間の斜角筋隙を通ります
腕を上げる動きを過度に繰り返すと
これらの筋肉が肥大したり筋拘縮を起こし
第一肋骨との間で鎖骨下動脈と腕神経叢が圧迫されることもあります

以前月刊スポーツメディスンの特集で胸郭出口症候群がとりあげられましたが
斜角筋症候群はその中のひとつのケースだそうです

腕を上げるといってもちょっとやそっとでは筋肉が肥大することもありません
野球の選手のような投球動作を頻繁に行うとよくおこるそうです

私に取ってスポーツメディスンの特集はとても勉強になったのですが
私個人の考えも申し上げておきます

腕を上げる動作を繰り返すことにより斜角筋が疲弊することは間違いないのですが
胸郭の問題もベースにあるように思うのです
肋間筋など胸郭を取り巻く筋肉の拘縮により
肋骨全体が固まったような状態に陥れば
上部肋骨は下方に引っ張られた状態になります
呼吸補助筋でもある斜角筋はそれにより
普段より引っ張られ緊張状態を強いられます
その状態が長期に及ぶと十分な血流は阻害され
拘縮状態を作り出すケースもあるだろうと考えます

一次的には腕の挙上に用いられることが肥大並びに拘縮の原因となるのは当然なことではありますが
それ以前に健全な状態からほど遠い環境におかれたのであれば
斜角筋はが疲弊するのも助長されるわけです

これは腕を頻繁に上げる動作をしない者でも
類似の症状が起こることからも何らかの関係はあるだろうと思うのです
なかなか一筋縄ではいかない症状ですが
こういう視点からのアプローチもアリではないかと考えます

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