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2013/06/25

リスクを知る

この仕事をやり始めたころはちょこちょことクレームがあったりしました
翌日にかえってしんどくなったとか熱が上がったとかいう内容が多かったように思います

私が用いるオステオパシーの手技はとてもソフトなものばかりで
そのようなトラブルが起きることは考えてもいなかったのです

その後本を読んだら術後2~3日は風邪をひいたような重だるい感じに陥ったり
若干熱が上がることもありうると書かれていました
結局は私の勉強不足だったわけで
今から考えるとお恥ずかしいことも少なくなかったのです

技の効果として反射弓を利用し
筋拘縮を解放するだけでなく
血流を促進するという作用もあったわけで
施術の前後で血流量も変化するのですから
体温の上昇もいわば当たり前
その結果風邪をひいたときと同じようなけだるさもあるわけで
むしろ冷えていた身体が温まるということは歓迎すべきもとで
それだけ技が上手く効いたと言ってもいいのですが
ただしんどくなったり熱っぽくなった方にとっては迷惑な話で
要するに施術前にきちんと説明していなかったことが一番の原因だと思います

「好転反応」とか「めんけん現象」と呼ばれるもので
基本的には悪くなったわけではないのです

常々私は「治すことはできない」と言ってますが
治すことができるのは自分の身体の機能であり
我々は治ろうとする身体の機能に対するお手伝をするだけだと思っています
この話を詳しくしだすと長くなるので割愛しますが
自然治癒力というホメオスタシスに由来する力が
何らかの理由でその機能が十分働かなくなったとき
痛みや症状が発生し
我々が与える刺激で自然治癒力が目覚め始め
十分な機能を取り戻すことで、そこから治癒が始まるというのが
私の施術に対する評価です

むかしそういうクレームがあったころは
そういう意識を持ち合わせていなかったので
なんとか治してやろうと必死でやったものです
その心意気は自分自身でも評価してやりたいのですが
如何せん私の手技で直接治せるもんだと思っていたのがそもそもの間違い

技が身体に与える刺激が多ければ治るというものではありません
刺激そのものには治す力はないと思います
単なる現象を生むだけでそれで身体内のバランスが整って
ようやく身体は治そうと働きだすのです
過ぎたるは及ばざるがごとし
栄養価の高いものを食べすぎたらかえって病気になることは皆さんご存知です
同じくいい技とか施術でもやりすぎるとマイナス面もあることは知っておくべきです
軽い発熱やけだるさ程度ではリスクと呼べないのですが
刺激も過ぎるとそれ以上のこともありうるわけで
それを理解した上で「いい加減」ができるのもひとつの能力

いつもお世話になっている東海大学医学部准教授の川田浩志先生のご著書
見た目が若いと長生きする」という本の中で
「ちょっとした毒を体に与えるのが長生きに秘訣」とおっしゃっています(p141)

詳しい解説はぜひこの本をお読みいただきたいのですが
わずかな毒ならば人の身体は毒に対する対抗力を持つというのが大雑把な説明です

私は手技療法が人の身体に与える刺激とはここでいう「わずかな毒」に共通するのではないかと考えます
例えばマッサージなんかはとても気持ちのいいもんですが
これも力加減を誤ると細胞組織をつぶすこともあります
そうなってしまえば単なる身体に対する侵害行為に他ならず
デメリットも発生します

あくまでも手技療法というものはその刺激を受けた身体が
「侵害刺激」であると認識し治癒という作業が発動されるという限度に留まるべきものだと考えます
だからやればやるほどというのは心情的には理解できますが
いやしくもプロの仕事としては欠落したものを感じてしまいます

具体的には受け手の体力、治癒力が発動するまでに必要最小限の刺激量
場合によっては天候気候などの環境も考慮にいれるべきでしょう

難しいのはどれくらいやればいいのかではなく
どの程度でやめるべきなのかを知っておくことです

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