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2013/02/05

奥行きの深さ

最近はあまり行かなくなりましたが
他所でいろんな施術を受けるのが好きで
同業者はもちろんのこと整骨院やクイックマッサージなども頻繁に行ったものです
目的ややり方が違ってもお金を出して受ける立場というのは
実際に受けてみないと味わえないもの
けっこういろんなことに気付くのでプラスになることもあります
技術的なことを盗むというのはあまりないんですが
お客さんや患者さんの立場にたってはじめて見えてくることもあるのです

たまに経験の浅い術者に出会うとひどい目に合うこともあります
自分も初心者だったころ同じことをしていたかもしれません
それでも過去を棚に上げて施術を観察するように受けていると
一生懸命にやってくれてるんでしょうね
力いっぱい押してくれるマッサージによく出会いました
とりあえず一生懸命にやるということはいいことです
ただそれで喜ぶ人もいれば痛がる人もいるのです

確かにこういうたぐいの施術は侵害刺激を与えることにより
脳に刺激が行き、修復しようとする働きが始まります
これが多くの手技療法の作用機序といってもいいでしょう
ただ問題は侵害刺激たる技の質的な問題です
理想は狙った場所に適正な量や質の刺激を与えることなんですが
ここで難しいのは狙った場所
皮膚を介してその奥にある筋肉などの組織の一部分を狙うわけなんですが
表層から深層までたくさんの組織が入り組んでいます
筋肉だけでも何層にも重なっている個所も少なくありません
表面から見たら「ココだ」という場所でも
奥行きがあることがわかっている人はそう多くはいません
また奥行きの深さをわかってはいても適正な深さだけに
刺激を与えるだけの技術を持つ人はさらに少なくなります

常識的に考えれば皮膚表面から刺激を伝える場合
表層に強い刺激が加わり、奥に行けば行くほど弱くなります
だから力づくでそれをやろうとすればどうしても表層に負担がかかるはず
そして一番効かせたいところに微々たる刺激しか与えられない
そういうことが術者側の一番の悩みでもあるわけです
そういう問題意識さえない人も少なくないのが実情だと思うのですが
わかってはいても実際にやると私もなかなか満足のいく施術ができないこともあるんです

マッサージ的な技術だけではなく
他の技術でも奥行きがある中でどこに照準を定めて技をかけるという認識が必要だと思います
オステオパシーでもいろんな技法があります
たとえばカウンターストレインという技法でも
ローレンス・ジョーンズ先生のやり方だと圧痛点をモニタリングしながらやるのですが
その圧痛点も皮膚表面上に出てくるものですが
私は少々疑問に感じることがありますので
身体の中の奥行きのある部分のひとつの点をモニタリングしてやる
まったく違ったやり方にしています
これは私の勝手な我流になりますので
カウンターストレインとは違ったものになるでしょうね
それ以外の技法でも身体の奥を感じながら施術する習慣がついてきたようです

一生懸命な施術は個人的には好きです
気持ちが伝わってくるのは上手下手云々を超えた次元で大切なことだと思います
しかし時にはそれが害悪になることもしばしばありますし
靴の底から足の裏を掻いてもひとつも嬉しくはありません
やはり適正なポイントを三次元的に把握することが必要ですし
技法もそれに合わせたやり方に変えていかなければならないと思います

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