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2012/12/12

どこかにいってしまったものたち

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どこかにいってしまったものたち クラフト・エヴィング商會

嘘と出鱈目は似て非なるもの
「いつわり」を生み出す過程がまったく逆
サイコロを振った「出た目」を語源とする出鱈目は出たとこ勝負
つまり成り行き任せのいい加減なことを言います

その点嘘は違います
いやしくも人を欺罔せしめんとする目的があるわけですから
用意周到なものでなければ人を欺くことはできません

両者の差は意識・能力・努力という様々な点において正反対といってもいいでしょう
だからといって「嘘」が素晴らしいものであるとは言えないわけで
その目的が利己的でありなおかつ他人に損害を与えるものならばもってのほか
非難されてしかるべきでしょう
しかしながら他人を幸福にするための嘘ならばその虚構にも価値はあると思います
「嘘も方便」といいますが利他の精神から生み出されるものはむかしから認知されているようです

さて「どこかにいってしまったものたち」という本
クラフト・エヴィング商會という架空の商品を扱う架空の会社が
かつて取り扱って今はない商品を紹介したもの
当然架空の商品であるからそれはまったくの嘘っぱちなんですが
当時の宣伝用チラシや取扱説明書の写真まであるわけですから
状況を知らずに読めば混乱してしまうこと請け合い
ここまで用意周到な嘘は傾聴に値します

暗闇を作る「アストロ燈」
一生に一度だけ使用可能な「全記憶再生装置」
「瞬間永遠接着液」などの「かつてあった商品」は奇想天外
「いったい何に使うんだろう」という興味がわいてきます
その興味の上に重ねる嘘は大人のファンタジー
きれいにまとめ上げた文章に「粋」を感じます

昭和・大正・明治に広がる幻想的な世界が本書の舞台
ノスタルジックな味わいにニヤリと笑えるユーモア

同じくクラフト・エヴィング商會の「ないもの あります」という本を読んで
独特の世界観が気に入りソッコウでアマゾンアタック
頭の柔軟体操にはうってつけの本です

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コメント

こんにちわ!

今年は、一番「言葉」って大切だなと
感じた年でした。

出鱈目って漢字、改めてみると、成る程
と思ったりして・・・。

投稿: うさうさ | 2012/12/12 11:46

月刊トレーニングジャーナルで連載させていただいているコラムも「言葉」がテーマです
調べていると言葉って奥行きの深い世界へ連れてってくれるんですよ
何気なく使う言葉にも積み重ねた歴史があるように感じます

投稿: ひろ | 2012/12/12 12:36

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