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2012/07/11

己を知る

この世界に入ったとき一番最初に教わったのはオステオパシーの適用範囲
器質的な障害は範囲外でそういったものを伴わない機能障害のみにオステオパシーは有効であるということです
簡単にいえば骨折なんかの物理的な障害にカウンターストレインをしても効果はありません
あくまでも物理的な障害は見あたらないけど
正常に動かない場合にのみオステオパシーの技法は有効だということを教わりました

開業してからもいろんなケースに遭遇したのですが
いつもついて回った問題は自分の使う技法がどういったケースに有効なのかということです
超能力や神秘的なパワーを持ち合わせていない私にいったい何ができるのか?
今に至るまで大きな命題だともいえます

たとえばヘルニアだと診断された方がお越しになり
何度か施術を受けて改善したとします
しかしそれはヘルニアという診断があったとしても
その人により程度も異なれば条件も違います
もし現に存在するヘルニアが事実だとしても
それ以外の要素が痛みやしびれなどの症状の原因だった場合
それを取り除けば症状がなくなることもあります
そんなときヘルニアが治ったと思われても仕方のないことだと思います
しかしヘルニアの状態が以前と変わらなかったとしても症状さえ消失すればその人にとってはそれでいいわけですからヘルニアが治ったという評価をされることもあるのです
私としては納得できない話ですが
意外にそんな話が一人歩きすることもあります

ただこちらとしては好都合な現象でも客観的な評価をしておかないと勘違いするおそれがあります
そうなると何でもかんでもヘルニアを治すことができるなんて吹聴しかねず
ややこしい事態に陥ることも予想されます

人間のすることですから自ずと限界はあります
名医と呼ばれる医師でさえできないことはできません
意外に難しいのはその判断が適切にできるかどうか
人には願望があったりプライドがあります
それはそれで大切な要素でもあるのですが
逆に働けば自分の期待と実際にできることという現実に齟齬があったとき
たやすく現実を捨ててしまうこともあり得ます
「そうしたい」と「できる」は明らかな違いがありますが
主観的な要素が入り込むことにより客観性を失うことあえあります

だからクライアントの身体の中で何が起こっているのかを正確に把握し
そこから自分の技法でどういう手立てができるのかを考えていくわけです
さらにクライアントの体力や時間軸も視野に入れた組み立てをしていかなければなりません

性格的な問題かもしれませんが
どうも雰囲気だけに流される施術は好みません
自分の中である程度考えをまとめながらやらないと
私自身が納得いかないのです

もちろん最初は何もわからないですからまさに手探りで情報収集もします
あくまでも情報収集は施術手順に入る前の必要な要素ですから
ある程度勘に頼ったり雰囲気でやる場合もあります
しかしそれだけで終わるのならお話になりません
それならそれで正直に「わかりません」と言うべきかもしれません

あるいはやっているうちに自分の手には負えないと悟った時
クライアントが次にどうすべきかくらいはお話しないといけないように思います
病院で精密検査を受けたり、あるいは内科的な診察を受けたり
他の方法まで考えてあげるのも必要でしょう

いずれにしても出来ないことをいくらやっても
時間のムダ、お金のムダ、治療機会の喪失など
お互いにとってメリットはありません
そのためにできることとできないことをきちんと整理した上で知っておかなければならないと思います

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コメント

仲の良いバーテンダーに仕事の難しさについて質問したところ
勘違いしないことと即答されました
それなりのテクニックがあり誉めてくれる人が集う空間
とても用心する必要があるそうです
客観視する能力を持たれているひろさんは
技術系サービス業の模範ですね〜!

投稿: アルティマ | 2012/07/11 10:36

そのバーテンダーさんも只者ではありませんね
勘違いの中で自分を見つめていると必ずどこかでギャップを感じるはずなんですが
それでも自分に都合のいい理屈を探してギャップを埋めてしまいます
それが私の得意技ですww

投稿: ひろ | 2012/07/11 11:55

こんにちわ!

最近、自分の回りの人で、ヘルニアだと
言われる方が、まあ多い事。
1人は、手術をされましたが、術後、
足が痺れて、今、整形外科へ入院中。
手術をして、腰はよくなったのに・・・。
なかなか、難しいものですね。

投稿: うさうさ | 2012/07/11 12:03

ヘルニアの手術をしても痺れが残るケースは少なくありません
正座してて足がしびれた時、原因となる姿勢をかえてもしばらくはしびれが残りますよね
同じような感じで原因のヘルニアを取り除いてもすぐに痺れはなくならないようです

投稿: ひろ | 2012/07/11 12:10

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