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2012/05/15

人斬り彦斎

Gensai
人斬り彦斎 五味 康祐

動乱の世にあっては大儀や理念のみで動くのではなく
微妙なバランスの上に己が立ち位置を見つけ
すりあわせながら動くことが大切
しかしいつの世にも必ず信念を貫く者がドラマを生みます
当然それぞれの利害が渦になって廻る中を真っ直ぐに歩むことは
摩擦を生み互いに傷付くことは必至
それをわかっていても人の生き方は変えられないものというのが読み物としての魅力となるのでしょう

主人公の河上彦斎(げんさい)は実在の人物で尊皇派の維新志士
アニメ「るろうに剣心」の主人公が幕末の京都で
「人斬り抜刀斎」と呼ばれたころのモデルになった人物だそうです
身の丈は低く物腰の柔らかさは女性の如し
されど人を斬るときの迫力と冷淡さは「人斬り」として恐れられる

そんな彦斎が人斬りとして活躍し
尊皇派の中心人物であるところから物語は始まります
ところが動乱の世の中はいろいろな思惑が絡み
互いの利害が不安定な状況で均衡を保つのですが
わずかな月日で表も裏になるというのが乱世の怖さ
実直な人ほど不遇な立場に置かれてしまいます

彦斎が信念に基づき動くというのがメインストーリーなのでしょうが
小説として成立させたのが人斬りを依頼した芸妓の染香とのラブストーリー
この二人の気持ちが一枚の生地を紡いでいきます
彦斎の男としての生き様と染香の女としての生き様が
強くぶつかり合うところにこの物語の真の見所があります

個人的に小説を読む必要ができたので
一年ぶりくらいに読んでみましたが
動かない彦斎の信念と目まぐるしく動く環境から目が離せません
二本の軸が絡み合うながら捻じれていく展開に惹かれました

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