肋骨が固い
(画像:動きの解剖学Ⅰより)
この時期、身体を触っていて肋骨が固い人が目につきます
ここで素直に納得してもらってはいけません
肋骨というのは骨ですから固いのは当然のことで
それが柔らかくなったり固くなったりするわけがない
そんな疑問を持たれた方は鋭いです
実は骨自体の固さの問題ではなく
肋骨を押さえたときの弾力性のお話です
ご存じのとおり肋骨は背骨から左右12対の骨が出て
そのうち10本は胸の胸骨とつながり
いわばリング状になっているのです
これらの骨が全く弾力性がなかったとしたら
身体をねじるなどの回旋運動は困難になり
腰椎にのみ負担がかかります
そうかといっていくらでもねじれるようだと
中に入っている心臓や肺に圧迫がかかり
とんでもないことになりかねません
だから適度に固くて適度に柔らかい
そんな都合のいいしなやかさを備えています
私はたいてい全員の肋骨の「しなり」具合を確認するのですが
いつもならある程度のしなやかさを持つ人が多いはずなのに
春先になるとどうも肋骨を押さえても固くなっている人が多いように思います
実際問題日常生活にはなんの問題もないので気がつかない人がほとんど
それは痛くもなければ、できない動作もないので当然のこと
なぜ肋骨が固くなるのかといえば
肋骨の周りには肋間筋という筋肉が付着しています
これは肋骨を広げたり、すぼめたりする筋肉で
食肉でいうとスペアリブにあたります
骨が固くなるのではなく
これらの筋肉が硬くなることにより
肋骨全体の可動性が減少し
私としてはあたかも肋骨が固くなったような印象を受けるのです
その原因としては激しい気温の変化が考えられるのですが
いろいろごちゃごちゃとあって自律神経が乱れ横隔膜の緊張をもたらし
その次に肋間筋の緊張を引き起こすものと考えています
もう少しまともな説明をしたいのですが
この話題だけでとてつもなく長くなるので割愛します
普段あまり意識しない肋骨周り(胸郭)ですが
ここが緊張すると腰椎の負担もかかるだけでなく
呼吸量も減少し、それで酸素の摂取量が少なくなるのです
また上部肋骨からは頚筋群が付着しているのですが
それらに緊張が伝わり肩こりというより
首の付け根あたりが凝りだします
その他にも精神的なストレスとも関係したり
内臓機能とも関係したり
肋骨周りは気にならなくても
それ以外の全く別の部位で妙な症状を引き起こすことも少なくありません
どうも春先は不可思議な症状が目につくのですが
それらの大多数のケースにおいて肋骨の弾力性が失われているのです
軽いうちは腕を振りながら身体をねじる運動を呼吸とともにすることをお勧めしていますが
実際、気づいた時には相当硬くなってそれくらいではおぼつかないことが多いようです
こういった運動はあくまでも予防が目的ですから
普段から毎日やるべきなんですけどね
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コメント
そうですか。
難しく考えずに、ラジオ体操のようなものを毎日習慣にするといいのかもしれませんね。たまにはしますが、毎日となるとなかなか・・・。
投稿: persian | 2012/04/11 09:44
私が毎朝やっているのがラジオ体操の回旋運動を素にしたしたものです
それだけしかしませんが時間が短くて済むので毎日できます
投稿: ひろ | 2012/04/11 10:12
初めまして。磯部玲子と申します。
私はピアノを弾いていますが、いわゆる”へバーデン結節”(痛みはありません)です。
先日ピアニストの知人が、私の指を見て、これは肋間筋が固くなっているから出来る症状なので、肋間筋を
ほぐし柔らかくすると、治ってくると教えてくれました。
どのような体操やほぐし方が有効なのか教えて頂けますでしょうか。
よろしくお願いします。
投稿: 磯部玲子 | 2017/09/18 22:21
磯部様
コメントありがとうございます
お返事も遅くなり申し訳ありません
へバーデン結節なんですが
調べたところ原因不明とのこと
肋骨周辺の硬さが肩や肘、手首や指にまで影響を与えることは何度も見てきましたが、へバーデン結節のような症状と肋骨が関係しているとは考えにくいように思います
まあ、私もヘバーデン結節を治した経験はありませんので何とも言えませんが…
普段お教えする体操は「でんでん太鼓」と呼ばれるもので
力を抜いて腕を左右に振り体幹をねじる体操です
もちろんそれだけで肋骨周辺が弛緩するわけではありませんので
施術を受けながらということになります
私が外部から働きかけて、本人さんには内部から働きかけてというやり方です
このようなケースでどれだけ効果が出るかは私自身も疑問です
投稿: ひろ | 2017/09/21 14:10