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2012/03/21

使ってなくても

物事には必ず原因と結果があります
別に哲学的な話でなくとも日常生活の中でも当たり前のことです
身体のどこかに痛みが生じた場合は非日常的なこととも言えますので
躍起になってその原因を知ろうとします
たとえ原因がわかったからといって治る保証がなくとも
どうして痛くなったのか知りたいのは将来同じことが起きた時のための学習に必要だからなのかもしれません

「特に何もしてないんですけどね」
痛みの原因について思い当たることがあるのかを尋ねると
けっこうこんな答えが返ってくるんです
本人さんにしたら原因がわからないわけです
「転んだから膝をすりむいた」
こんな単純明快な因果関係でもあれば納得できるんですが
理由もなしに痛みが発生したとなるとどうも納得がいきません

これだけの痛みに相応するアクションがあるのがふつう
そう思っておられる方も少なくはありません
通常の原因といえば動きすぎ働きすぎから疲れてそうなるもの
だから特に変わったこともしていなくて
おとなしくしているのに痛みが出るというのは腑に落ちないかもしれません

さて「筋肉の疲れ」というものに焦点を絞って考えてみます
筋肉は通常自分の意思に基づき収縮させることで骨格を動かします
だから動くことこそが筋肉の仕事と考えられています
ただ意外に忘れられているのは姿勢を維持するのにも筋肉が活躍しているということ
立ったり座ったり寝転んだり一日のうちにいろんな姿勢をするのですが
けっこう姿勢を維持するのにも筋力が必要であるということを知っておくべきです
たとえば体重50kgの人ならば重力に抗い立てておかなければなりません
生まれて一年くらいたって歩き出し
毎日当たり前のように立っているから何の労力もないかのように思ってはいるものの
50kgの物を支える労力という視点で考えなおしてもらえばわかるはずです

重力に対抗して立位姿勢の保持に働く筋肉というのはたくさんあります
頚部伸筋群、脊柱起立筋群、ハムストリング、ヒラメ筋、前脛骨筋、大腿四頭筋、腹筋群、頚部屈筋群などなど
いろんな筋肉が協力しあって身体を立位に保つことができるのです
これらはあくまでもじっと立っているだけの話です

身体を動かすことだけが疲れる要因ではないことは明らかです
それともうひとつ意外なことはじっと立っているのも疲れやすい事情があるのです
「動作」に関しては複数の筋肉が収縮と伸展を繰り返す作業があります
この効果として筋肉中の血管に対してポンプ作用が働き血液の循環が促進されます
つまり動いている方が疲労する半面、疲労回復の作業も行われるということです
だから意外と軽い運動なんかの場合ポンプ作用を促し疲労回復にはうってつけ
「アクティブレスト」と呼ばれ積極的に動くことで疲労回復を図るのです
スポーツの後のクールダウンにはそんな要素が含まれていて
激しく動かして疲労困憊した筋肉に対して
緩やかな運動を与え血流を促進し疲労回復効果を高めるのです

一方じっと立っている(あるいは座っている)
一定の姿勢を長時間続けると姿勢を維持するための筋肉はその間
ずっと収縮したままで、当然その筋肉に走る血管も収縮ままということになります
そうなると酸素・栄養素の供給も滞り
炭酸ガスや乳酸もそこにとどまることになります
これがじっとしていることの弱みです
実際立ち仕事の方や事務仕事で一日座りっぱなしの人が
腰痛になりやすい原因となるのです

本当はもっといろんな要素が絡んでくるので
事態は複雑になるのですが
意外とおとなしく何もしていないことが
痛みの原因になるということを知っていただきたいのです

「何にもしていないのに痛くなりました」こういう言葉に答えて
「何もしていないから痛くなったんですよ」いつもこう言うのです

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コメント

数年前ふくらはぎが痛くなり、スムーズに歩けなくなりました。
家の中では、竹刀を杖代わりに、そして、近所の整形外科に自転車を杖代わりに歩いて行きました。
先生曰く「登山でもしましたか?」
そんなふくらはぎになっていたようです。
その時は全く私にも原因となるものの心当たりがなかったのですが、後で考えると、その頃は、長時間パソコンの前で仕事をしていて、途中休憩があるので必ず歩いて休憩室に行っていたのですが、その前日かな、休憩室に行かず、狭いところに座りっぱなしだったのです。
動かなかったので、ちょっとエコノミー症候群のような感じになっていたのかなと思います。
その後も、足の甲が腫れるという事があり、大学病院に行きましたが、なんだかわからず・・・。
自分では普通のことだと思っていましたが、前日の日比谷公会堂(昔、紅白歌合戦をやってた所ですね。古いのでエレベーターがないのです)でのファッションショーでモデル係りをやってた私は、いなくなったモデルさんを探しに何度も3階から1階を硬い革靴で走り回っていました。
それが原因だったのかなと後で思うんですよね。

今は本当に、動く事の大切さを痛感しています。

投稿: persian | 2012/03/21 21:13

ずいぶんと極端な例だと思いますがそんなこともあるんですね
おっしゃるとおり動かないことで血液やリンパの循環が悪かったのかもしれませんし
その前に内蔵機能が低下していた可能性もあるかもしれません

「動く」「動かない」いずれにしても極端なことはよくないと思います

投稿: ひろ | 2012/03/22 05:41

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