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2012/02/02

不思議なり!胸鎖乳突筋 その後

2004年の11月に「不思議なり!胸鎖乳突筋」という記事を書きました
あれから7年余りの歳月が流れましたが
いまだにコメントをたくさん頂きその注目度の高さに改めて驚いています
しかも私が以前の記事で書いたようにたんなる筋肉の緊張にとどまらず
他の症状との関係性の中で不思議なことが多いということが私の疑問であったわけです
今もなおわからないことが多いのですが
あの当時よりかはいくつか見えてきたものもありますので
途中経過ということではありますがご報告しておきます

Imgp0267_2

胸鎖乳突筋というのは非常にかわった筋肉で
支配神経は脳神経から出ています
どういうことかというと他の筋肉(骨格筋)はたいてい背骨の中を走る脊髄から末梢神経が出てそれらの神経の支配で動きます
わかりやすく言えば筋肉を動かす神経は背骨から出ているのですが
胸鎖乳突筋は(僧帽筋も)脳から直接出ているということです
やや難しい話になりますが
脳神経は12種類(12対)あってその中の「副神経」と呼ばれるところから出ています
「副」という字は「社長」の下に「副社長」がいるのと同様
本来、何かに従属するというか下部機関のような意味を持ちます
実はこの「副神経」というのは洋名を「アクセサリー」というそうです
「アクセサリー」とは皆さんご存知のとおり「装飾品」や「付属品」という意味
「副神経」というのは「アクセサリー」の訳語のようです

さて問題は「副神経」は何の付属品であるかということ
これは「迷走神経」だといわれています
迷走神経とは主に内臓を動かす副交感性の神経です
難しい説明はこの辺まででやめておきますが
要するに副神経は内臓を支配する迷走神経のアクセサリーだという事実は重要です

いったいどうして胸鎖乳突筋を支配する副神経が
内臓を支配する迷走神経の従属関係であるかは大きな疑問です
これについては胸鎖乳突筋の進化の過程を考えるべきです
我々の祖先が水の中で暮らしていたころ
呼吸はエラでしていました
要は魚だったということですが
進化する過程で陸に上がりいつの間にか肺呼吸にかわりエラの必要性がなくなりました
必要のないものは退化するのが生物の掟
いつしか陸に上がった我々の祖先はエラが消失するのですが
ただなくなるのではなく首を左右に引っ張ったり頭を下げる筋肉に生まれ変わりました
それが今の胸鎖乳突筋に当たるわけです

「鰓弓(さいきゅう)」という言葉があって「動物の初期発生で、魚類では鰓に分化する部分に相当する領域。ヒトでは、咽頭や中耳などに分化する。」という説明がされていますが、この胸鎖乳突筋も鰓弓のひとつになるわけです
エラといえば呼吸器官であり生命維持に必要な内蔵と同じ扱いを受けるのは当然のこと
だからずいぶん以前の祖先のころは同じ支配神経だったようです
しかし今ではまったく別の性質の器官になった以上
同じ神経支配のままではいられず副神経という違うものに分離していったのは自然の神秘でもあり自然な成り行きといわざるを得ません
しかし内臓とまったく関係のないものとなってしまった胸鎖乳突筋ですが
昔の名残でわずかながらも何らかの関係性を残しているのではないかと思うのです
ここの部分は私の仮説であり事実かどうかの検証もありませんし
私の言うことにエビデンスなんかありはしませんので
もし異なる考え方や賛同するご意見があればぜひともご教授願いたいと思っております

この考えは5年位前に東洋オステオパシー協会の会報のレポートにも書いたのですが
現実の世界に戻り臨床の場にこの仮説を持ち込み施術したところ
内臓との具体的な関係性や法則性もいくつか出ております
さらには自律神経にかかわる症状
例えば精神疾患との関連性もいくつかの例で感じております
ただしこれらすべてを胸鎖乳突筋に対するアプローチで解決できるかといえばそうではありません
むしろその関係性を見つけ出した後、それらすべてに対して総合的なアプローチをかけることが現状では得策だと考えております

今は研究途上ということもあり具体的な例を挙げてここで申し上げることはいたしません
ブログの性格上そこまでするつもりもありません
ただそれらの関係性が具体性を帯びた形でまとまりましたらこの続きをご報告するかもしれません

またこの中の記述で医学的な説明で不備があればお知らせくださいませ
研究論文ではありませんので一般の方にわかりやすい説明を心がけている都合上至らないところもある上に、私自身の知識の曖昧さで間違いもあると予想されますので宜しくお願いいたします

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コメント

こんばんわ!

胸鎖乳突筋って、初めて聞きました。
ひろさんが、7年前に書かれた記事でも
あるのですね。

今日は、下関も少し積もるくらいの雪が
降りました。
寒いせいか、肩の凝りが・・・。

投稿: うさうさ | 2012/02/02 23:01

今日の大阪は風はありませんが気温が氷点下3℃
今年一番の冷え込みです

投稿: ひろ | 2012/02/03 07:48

こんにちは。
胸鎖乳突筋は、食いしばり癖と深く関係していますよ。

平常時は、上下の歯は接することなく隙間が空いているのが正常です。
ところが、上下の歯を日中無意識に合わせている(食いしばるほどでなくても)方が大勢いらっしゃいます。
すると、噛む時に使う筋肉(咬筋、側頭筋、胸鎖乳突筋、顎二腹筋)が常に緊張してしまうのです。

筋肉が緊張すると血行障害を起こし、凝りにつながりますし、
噛みしめ力の強い方、また長時間噛みしめている方だと、顎関節にも症状がでてくるわけです。

詳しくはTCHというワードで検索されるといいと思います。

ご参考までに。
通りすがりの歯科医師でした。

投稿: | 2012/04/20 09:28

とても参考になるコメントをいただきありがとうございます
TCHを調べてみましたが納得することも多かったです

ただ胸鎖乳突筋と咀嚼筋が連動するメカニズムに関して正しい理解がまだできないのでもう少し勉強してみることにします

またアドバイスがあればぜひお願いいたします

投稿: ひろ | 2012/04/20 10:19

こんばんは。以前、ここにコメントしましたが、名前忘れたので、名前変えさせていただきます。質問があるんですが、僕の場合、胸鎖乳突筋が安静時にも結構目立ってるんですが、これは、この筋肉が凝ってると見なして良いんでしょうか。

投稿: うどん大好き歌うたい | 2012/07/17 00:35

どうも難しいお話ばかり書いてしまったのですが
本来の胸鎖乳突筋の働きは首を回したり頭を下げる役割を担います
意外に動いていないようで頭を支えるために緊張していることも多く
この筋肉が浮き上がることも決して珍しいことではありません

だから過緊張かどうかの判断も難しいんです

投稿: ひろ | 2012/07/17 06:03

今年6月にメニエールに倒れ鍼灸治療で順調に回復の道にあるものです。

私が倒れたときもこの胸鎖乳突筋がガッチガチに凝っていました。
鍼灸師さんいわく、メニエールや難聴になる人はこの胸鎖乳突筋が強く緊張している場合がほとんだそうです。

鍼灸では各器官に対応する内臓があるという考え方で、耳が悪いのなら耳だけをターゲットにしてもよくならない、必ず耳と対応する内臓とセットで調子を整えていくことが大事だそうです。
わたしは鍼灸は初めてだったので、最初は理解できず耳ばかり気にしていてよくならなかったのですが、途中から耳よりもむしろ内臓の動きをあげるように生活を改めると、たしかに耳の回復が一気に起こり、それと同時に、胸鎖乳突筋の素人でもわかるぐらいのガチガチな緊張が改善されました。

胸鎖乳突筋がエラの由来であり発生史からでは内臓と関係があるとこの記事を読んではじめて知りましたが、自身の回復の過程からも内臓となにか関係があるのかもという感触を感じました。

投稿: このは | 2012/10/06 14:07

おっしゃる通りメニエールの方も胸鎖乳突筋のか緊張が見られますね
ここの記事でも書きました通り迷走神経との関係があるだろうと思っていますが
そこから具体的な原因の部位を割り出すのが難しいところです

2004年に書いた記事でお寄せいただいたコメントでも胸鎖乳突筋そのものに意識が集中し
本当の原因に気付かない人が多いのですが
そういうところに詳しい先生に巡り合えたこのはさんはとても幸せだと思います

私もわからないことが多いのですが
もっと勉強して経験も積んでいきたいと思います

投稿: ひろ | 2012/10/06 14:36

人事異動後、胸鎖乳突筋がやたら緊張するので「イー」が出来なくなってきて困ったなあと思い始めていた矢先高熱の胃腸風邪になりました。下痢が三日間続いています。
腸は第二の脳と言いますから、過度の緊張で神経が過敏になって疲労時にウイルスにやられたんだなあとは思いましたが自律神経が既にじわじわ弱ってたんだなあとわかりました。
こちらのブログの通りだと思います。
元々顎関節症もあるので顎、首まわりが突っ張って非常に辛いです。
胸鎖乳突筋が過緊張を起こさない程度のリラックス感も持って仕事には望まないと本当にもっと酷い病気になるので気をつけようと思いました。既に仕事人間の父は身体は丈夫なのでメニエールになっています。

大変参考になりました。
ありがとうございます。

投稿: 三十路後半OL | 2013/05/30 23:14

胸鎖乳突筋って本当にいろいろな症状に関連するんで目が離せません
それ自体が原因というわけではなさそうなので胸鎖乳突筋だけにアプローチしてもさほど効果は得られませんが、状態を知るヒントにはなりますので参考にはします

投稿: ひろ | 2013/05/31 08:08

幼少の頃から吐き気を伴う頭痛に悩まされ、
5年ほど前に自律神経失調症と診断され、
関連があるのかないのかわかりませんが
パニック障害を発症している者です。

ストレスだ、肩こりだ、目の疲れだ、等々、
なんとなくモヤモヤしていたものが、
この記事を拝見しストンと納得できました。

症状をおさえる薬に頼ってばかりで
嫌気がさしていましたが、
治療のヒントになりそうです。
少しだけ希望の光がみえました!
ありがとうございまし

投稿: ねこ神様 | 2014/01/15 04:00

まだまだわからないことも多いので
どこからどういったアプローチをすればよいのか?
私自身も手探りといった状態です

よりよい解決方法が見つかればいいですね

投稿: ひろ | 2014/01/15 06:25

はじめまして、こんにちは、鳥取市青谷町の吉田歯科医院です。

胸鎖乳突筋を検索して到達しました。

以前、通りすがりの歯科医師さんがコメントされていますが、歯牙接触癖(TCH http://tmd-kino.com/kenshu.html)と胸鎖乳突筋の緊張は関係していると思います。しかし、TCHを是正しても胸鎖乳突筋の緊張は残る傾向にあります。

正しい咀嚼方法で食事することで、胸鎖乳突筋の緊張は緩んでゆくことを多数経験しています。つまり不適切な咀嚼方法が胸鎖乳突筋の緊張を生んでいるようです。

副神経支配の胸鎖乳突筋と食道の入り口の咀嚼筋とが連動していてもおかしくないと考えます。如何でしょう?

当地では特に腕や肩を使った後に「けんびき」で歯茎が腫れたと言います。

投稿: 鳥取市青谷町吉田歯科医院 | 2014/02/14 22:53

貴重なご意見ありがとうございました

通りすがりの歯科医師さんからアドバイスをいただきTCHのことを初めて知ったのですが
確かに胸鎖乳突筋との関係はあるでしょうね
ただその他の関係のありそうな項目に対し様々なアプローチをしても容易に胸鎖乳突筋の緊張をとることはできないのが正直なところです
我々が施術するオステオパシーにもクラニオセイクラル・セラピーという技法があり
側頭骨や上顎骨・下顎骨に対するアプローチや咀嚼筋に対するアプローチもあります
歯科医師でこれらの技法を習得される方も少なくないようですが
特に画期的な効果が得られたというお話も聞きません

私個人のアプローチといたしましては自律神経と関連性のある部位をすべて施術しているのですがピンポイントで行うアプローチというものはありません

腕や肩を使う場合、必ず胸郭(特に上部)にも強い緊張があるはずですので鎖骨や頬骨にもその緊張が伝わっているのではないかと考えます

またご意見がございましたらぜひお聞かせくださいませ

投稿: ひろ | 2014/02/15 08:19

こんにちは
34才の主婦です。もう10年以上ひどい肩こりに悩まされ、色々な整体院に通い、体の硬さは80代だなんて言われたこともありました。自律神経も悪いです。最近普通に、気をつけ!の立った状態ですごく首の2本の筋が目立つことが気になり、調べたら胸鎖乳突筋というもので、色々調べていたらここのブログにたどり着きました。ビックリするくらいこの筋肉が出て見えていて、張っています。色々な自分の不調を考えると、全て納得してしまいそうです。これから、少しでもほぐれて行くと良いのですが…

ありがとうございました。

投稿: みどり | 2014/07/09 15:11

こちらにコメントいただいた方は皆さんたいへんな症状でお悩みのようですが
胸鎖乳突筋がかかわるケースの多さに驚くばかりです

ただ問題は胸鎖乳突筋にアプローチしたら解決するという単純なものではなく
さらに奥深くの原因を見つけ出す必要があるだろうと思います


どうぞお大事に…

投稿: ひろ | 2014/07/09 16:32

はじめまして。15年以上の顎関節症です。一時期は耳鳴りやパニック障害に近いものもありました。
私の場合は通常開口時に顎をずらせば大きく開けることができますが、食事をすると必ず顎をずらすことすらできなくなって小さくしか開かなくなります。そして食事後しばらくすると、また顎をずらせるようになるというものです。
TCHのことをテレビで知り歯を離すようにしたところ、顎の開きづらさには変化ないものの、触ると痛かったポイントは痛くなくなりました。そのため自分のケースは噛み合わせなどではなく、顎周辺の筋肉が緊張しているからなのかもしれないと思いました。
また、30分ほど歌を歌うと、開口音はするものの顎をずらさなくても開くようになります。これはなぜなのか、よくわかりません。歌うことでほぐれるのでしょうか。
最近自覚したのは、ストローなどで吸い込む動作が顎の緊張に関わってるらしいということでした。ヤクルトに細いストローがついているのをご存知でしょうか。あのストローでヤクルトを一気飲みしたところ、すぐに顎が開かなくなりました。それで「吸う筋肉」を調べていたら胸鎖乳突筋が出てきて、こちらを訪問させていただいたところです。
ストレスで吸い込む癖があるのかもしれません。普通にしていると口の中はいつも舌が密着していて、空間がありません。寝不足になったときが顕著で、寝不足による吐き気をこらえるため、より口の中を引き締めていたりします。
吸っていると気が付いたときは離すようにしていますが、これからは胸鎖乳突筋もリラックスできるように気を付けていこうと思いました。
でもきっと根本はストレスそのものを取り去らないといけないのでしょうね。読ませていただいてそう思いました。夜更かしはいけないと思いつつ、ついついしてしまいます。思えば夜更かしが始まったころから顎関節症も始まりましたし、自分にとってはかなり関係あるのかもしれません。
色々と、悪癖だらけです^^;
大変ためになる記事をありがとうございました。

投稿: るう | 2014/08/30 13:00

人の身体って不思議なほど数多くの連鎖で動くことができます
逆にいえばわずかな不調でも周りが補ってくれる反面
その程度が著しい場合は全部巻き込んで想像もできない症状を引き起こすこともあります

胸鎖乳突筋もそういうかかわり合いの中にある筋肉なのでしょう
ここに書きこみをしてくださった多くの方に申し上げていますが
胸鎖乳突筋が最大の原因というよりもむしろ被害を受けている方の立場ではないかと考えています

投稿: ひろ | 2014/08/31 08:23

胸鎖乳突筋 web検索で ここまでたどり着きました。

私は病院で血圧を測るとやたら高くなる体質です。医者の前では大丈夫なのですが、看護婦が毎回血圧が高いと顔に出しますそれを予感して「いや」と思いそれだけで首がこり大変です。

このページでは、なるほどと思う情報ありがとうございます。

ですが、今つらい胸鎖乳突筋の張りを速取りたいのが今の気持ちです。

投稿: | 2014/09/29 17:46

けっこう病院で測ると緊張して血圧が上がるひとはいますよね
体質というよりもそういう反応がでるんでしょう
それも程度問題ですけど…

なんとなく雰囲気もわかるような気がします

投稿: ひろ | 2014/09/29 18:20

こんにちは┏●
私は長年声の悩みを抱えているんですが,胸鎖乳突筋が発声に関係していることを知り
調べたところこのページに辿り着きました。

質問なんですが,胸鎖乳突筋は正常な状態では
一切力まずプニプニの状態なんでしょうか?

良い姿勢の条件でよく言われる、
"頭を天井から吊り下げられているような感じ"をやってみると,胸鎖乳突筋はプニプニしています。一方,普段通りの姿勢をしているとやや力んでいるような気がします


どちらが正しいんでしょうか。。ご教授願いますm(_ _)m

投稿: たま | 2017/06/18 12:29

胸鎖乳突筋に限らずすべての筋肉は緊張しているときには硬く
力を抜いてときには柔らかくなります
これが正常な状態だとお考えください

そして異常な状態であると力を抜こうとしても緊張した状態のまま硬くなっている場合をいいます
無条件に柔らかい状態がよくて、硬い状態が悪いというのではありません

私個人の考えでは胸鎖乳突筋が直接発声と関係するというよりも
発声にかかわる筋肉などと連続性があり
発声にかかわる場所に問題があるときいっしょに胸鎖乳突筋も緊張すると考えています
もちろん胸鎖乳突筋をなんとかすれな発声も問題も解決するような単純な関わり合いではありませんので
結局全体の問題としてとらえた方がいいのではないかと思う次第です

胸鎖乳突筋の記事を書きだしてから10年以上たちますが
新しい疑問点が次々浮かんできて難しい筋肉の一つだと感じています

投稿: ひろ | 2017/06/18 14:36

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