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2011/12/14

半月板再生治療

ひざの半月板、再生治療法を開発 東京医科歯科大

 一度傷つくと再生が難しいひざの半月板を、自分のひざの滑膜(かつまく)という組織からとった幹細胞で再生させる治療法を、東京医科歯科大の関矢一郎教授(軟骨再生学)が開発し、来年4月にも臨床研究を始める。半月板の損傷は、全国に2500万人という変形性膝(しつ)関節症につながる。歩きづらいひざの痛みに苦しむ患者には朗報になりそうだ。

 半月板は関節軟骨に挟まれた軟骨組織で、クッションの役目をする。加齢などですり切れると、手術で縫い合わせて補強したりするが、手術できない場合も多い。症状が進めば、痛みをとるためにすねの骨を切って向きを変えたり人工関節を入れたりする。

 新しい治療法では、患者のひざの状態を内視鏡で確認するとき、半月板の近くにある滑膜の一部を採取。2週間培養して増やした幹細胞を、注射器で半月板の損傷部に移植して再生させる。同大で3年間で20人ほどの患者を対象に臨床研究を行ったあと、他の病院にも広げて臨床試験(治験)を行う。

半月板損傷の方はウチに来られる方でも少なくはありません
もちろん損傷した半月板なんて手技療法でどうなるものでもありませんので私らにとっては対象外となります
だから膝が痛いと言って来られた方でもまず整形外科で受診して
客観的な状況を確認してからお越しいただくようお勧めしています

それはそうと半月板には血管があまり通っておらず
再生するための材料や栄養素が運ばれることがありません
だから半月板というのは一度壊れてしまうと
再生はほぼできないものと言われてきただけに
このニュースが現実のものになることを祈ります
実際に臨床となると実現することがなかったり
当初の見込みほど効果がないというケースも多いですから
何年後になろうとも一般的な治療法として定着してほしいものです

現在は破損した半月板を取り除く手術は行われているわけですが
それに加えて再生治療ができるならば話はコロッと変わってきますからね

ACL(前十字靱帯)損傷と並んで膝の中では多い障害です
スポーツ選手にとっては致命傷にもなりかねない大けがですし
一般の方、とりわけお年を召した方になりますと
リハビリもままならず歩けないうちにそのまま体力が低下して
最終的には病気を招きやすい身体になり
たいへんなことになるというケースも何度か見てきました
膝の故障で歩けないということは最終的に命にもかかわりかねない重大なことというのが私の認識です
とりわけ半月板損傷はほおっておけばそのうちに治るという種類のものではありません
シビアな言い方をすれば手術をしても元の姿に戻るわけではありません

だからこそ膝に関してはより大切に使ってもらいたい部位ですし
症状が軽いうちになんとかしたい部位でもあります

このニュースの行く末は注目しておきたいと思います

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コメント

このニュースは大変気になりました。
というのも、高校生の時に部活動で左足の半月板を傷つけてしまいました。
あまり酷くはなかったので手術せずに、潤滑油のようなものを膝に注入してどうにかやり過ごしました。
それ以来、生活に支障はないものの、寒い時や疲れた時、飛行機に乗ったりするとじわじわと痛みが・・・。
最近はあまり気にならなくなってきましたが。
痛い時は手術した方が良かったのか、と思うこともありました。
もし、治療出来るのであればいずれ・・・と期待してしまいますね。

投稿: スギモト | 2011/12/14 09:54

半月板そのものには神経は通ってなくて割れても砕けても痛みはないのですが、筋肉などの組織に触れたときに痛みが発生するようです
だからそうでないときには損傷に気づかず過ごしている潜在的なケースもあるみたいです
後々にそれがどこかに当たって痛みが発生する場合もありますので不安要素を取り除くことが可能になれば多くの方が助かるでしょうね

投稿: ひろ | 2011/12/14 10:11

はじめまして☆
私は半月板が人より小さいみたいで、たまにズレて靭帯?を損傷します。原因が分からず今まで脱却だと思っていました。整体でそう言われたんですが、そんなことありますか?また病名とかありますか?

投稿: なあな | 2012/01/22 00:06

それが事実であるかどうかは別として
整体や整骨院では画像所見を得ることはできず
もっぱら経験上の勘などに頼らざるを得ません
半月板が大きいか小さいかに関しても手で触れるものではありませんのでそのような判断は困難なはずです
できれば整形外科でMRIなどで見てもらったほうがいいように思います
ちなみにレントゲンでは半月板は写りませんので…
金額的に高くはなりますがきちっと調べておきたいのであればその方が正確なことがわかると思います

投稿: ひろ | 2012/01/22 08:10

>筋肉などの組織に触れたときに痛みが発生するようです
なるほど。。。理にかなった説明ありがとうございます。これだと切除して痛みが取れることが説明できます。

右2回、左1回半月板手術している僕としては、絶望的な記事ではあります。
昔からチェックしてまして、2015年あたりで何らかの治療が確立すると思っていましたので。。。
これだとあと10年くらいかかりそう。。。

投稿: 雅 | 2012/04/01 10:01

半月板の手術とひと口で言っても術後の患者さんの様子には個人差があります
今術後のリハビリで通われてらっしゃる方でも
半年ほどで生活レベルでは支障がなくなった方もいらっしゃいます
もちろんできないことはできません
完璧に元に戻るということはないと思いますが
努力次第である程度のレベルアップは現段階でも可能だと思っています
お気持ちは察するに余りありますが
どうぞ絶望されることなく時間をかけてリハビリをなさってください
アスリートでも復活なさったかたは大勢います

正直このニュースに関しては将来本当に実現されるかどうかわからないと思っています
それよりも今現実にできることを少しずつこなしていく
心の強さが大切なんじゃないかと思います
数年後にいい結果が出た方には共通してそういう要素を感じています

がんばってください!

投稿: ひろ | 2012/04/01 10:30

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