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2011/09/01

筋肉の量と筋肉の質

よくある質問で「腰痛を克服するためには筋肉を鍛えた方がいいんですか?」
「腰痛を治すために腹筋背筋運動をしなさいといわれました」
こんなのがあります

筋肉が弱っているから腰痛になった
それは多くのケースで紛れもない事実だと思います
だからこそ弱った部分を鍛えるというのは自然な発想ですし
その考え方そのものを否定するつもりもありません

ただそれのみが絶対的真実で
弱った部分を鍛えれば腰痛が治るのかといえば答えはノー
例えば成長途上で筋肉も未発達な子供は頻繁に腰痛になるでしょうか?
逆に鍛え上げて筋骨隆々のスポーツ選手はあまり腰痛にならないのか?
そんな疑問もわいてきます
個人差もありますが一般論としては逆ですよね
腰痛の幼稚園児や小学生ってあまり聞いたことありませんし
ハードトレーニングで腰痛になるスポーツ選手は少なくありません

このことからも筋肉を鍛えて強くすれば問題は解決するわけではないことは明らかです
人は自分の身体を動かす器官として筋肉を動かします
もちろん鍛え上げた大量の筋肉があれば容易に動作が可能になります
550mlのエンジンの車と2Lエンジンの車とでは同じスピードで走ったとき余裕が全然違います
だから一般論として鍛え上げた筋肉がたくさんある方が
楽にできて疲れにくいから有利なのは言うまでもありません
筋肉を鍛えた方が腰痛になりにくい論拠はここにあります

ただしもうひとつ重要な要素を忘れてはいけません
それは「筋肉の質」の問題です
筋肉の量が多い方が有利なのは筋肉の質がいいことを前提とします
どういうことかといえば疲れ切ってヘトヘトの太い筋肉と
少々細くてもしなやかで疲れていない筋肉とを比較すると話は変わってきます

つまり筋肉に必要な要素は質と量の両方がかね備わっていないといけないことになります
スポーツ選手のように高いパフォーマンスが要求される人はある程度量的なものが要求されます
それでも近年、筋肉の質が注目され出し
最近のトップアスリートって昔に比べスマートな体系になってきたと思いませんか?
闇雲に量をつけても使えない筋肉だったり不要な筋肉だったりすると
逆に動きを阻害することもあるからでしょう

また一般人においてはさほど飛んだり跳ねたりするわけではありませんので何でもかんでも筋肉の量をつければいいということはありません
むしろ多くの人の身体を触っていると腰痛に限らず
どこかに何らかの痛みを持つ人は「硬さ」を感じさせます
つまり筋肉の質が悪いと言い換えてもいいでしょう

この場合自分でできることといえば運動になるわけですが
痛みを我慢しながらの運動は極力避けた方が無難です
無茶をして悪化させる危険性の強いことはするべきではないからです
ある程度痛みが治まり運動ができる程度までに回復したことが条件で運動をするのですが
このときに「鍛える」と称して筋肉の量を増やすやり方は得策ではありません
なぜならばハードに動くと疲れて硬くなれば元の木阿弥
また痛みがぶり返せば何のために運動をしたのかわからないですよね

だから少なくとも初期段階では「鍛える」ではなく「リハビリ」というイメージを持つことが大切です
ハードなことは極力控えて疲労を最小限に抑えます
そして初期段階では硬くなった筋肉を軟らかくする
つまりは質を変えることに目的を絞り込んだ方が痛みから早く解放されるのです
どういう運動がいいかといえば私が薦めるのはストレッチ系
もちろんストレッチといえどもやり方を間違えると危険極まりないことは事実です
ですから負担の少ないやり方で様子を見ながら小まめにやる方がいいのです
間違えてもやればやるほど早く治るなんてむしのいいことを考えていると逆に痛い目を見ます
あせらず少しずつ長期的にやることが大切です

ちなみに慢性の腰痛をお持ちの方には2年くらいかけて少しずつ体質改善をするつもりでやってもらうように指導しています
何年もかかってわずらった慢性の腰痛が1ヶ月や2ヶ月で治るはずもありません
それぐらい気長にやっていただきたいのです

ある程度自信がついてきたら「鍛える」のもいいと思います
どちらがいいという単純な問題ではなく
あくまでも状況に応じた方法を選択することが必要なのです
直ちに痛みがぶり返す心配がなくなった時点では腹筋運動や背筋運動
大腿部や臀部の筋肉を鍛えることも有効です
ただしこの段階でも「質」の問題は重要ですので
ウォームアップやクールダウンなどで質を高めるという意識は忘れてはなりません
せっかく努力して作り上げた筋肉も質の悪いものになれば逆効果
スポーツ選手にありがちな腰痛の原因の多くはこんなところにあります

理想で言えば「量」も「質」も高いに越したことはありません
ただ痛みと向き合うときにはまず「質」に目を向けることが大切です

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