最密位
むかし修行中だったころある先生から手技療法の極意を教わりました
それは「最密位」というもの
読んで字のごとく「もっとも密な位置」ということ
施術するときは相手にできる限り近づいたポジショニングをいうわけです
そんなに難しいことではないんですが上手い人はこれができているし、そうでない人はこれができません
たぶんジャンルは問わないと思います
どんな手技療法でも当てはまるんじゃないでしょうか
簡単な理屈です
受け手との距離が長いほど腕の重みが感じられます
もっと大切なのは自分の体の重心から離れるほど腰に負担がかかり長くやるほど自分が腰を痛めるのです
物理の授業で習ったことですが距離の二乗に比例して支点に重量がかかるというやつです
自分の体に負担がかかるばかりではなく
逆に手に体重をかけにくいのです
そうなると手先の力だけで技をかけるとしんどくなってきます
スポーツと同様体幹の大きい筋肉を使った方が楽にできるはず
力的に余裕のない技は安定性もなく受け手に不安を与えます
例えば初めて行ったよその整体やマッサージなんかでも最密位ができているかどうかで上手いか下手かを判断しますがたいてい間違ってはいません
一生懸命にやってはいるものの最密位ができていないと
こちらに伝わる力は弱々しく薄っぺらい印象になります
完全に手の力だけでやっていると受けている方も苦痛なんです
最悪なのは手の力だけで強くやると薄っぺらいのに強いから不快感だけが残ります
軽四で100km/hで走っているような感じです
最密位ができていると体重移動がきちんとできるのでミニマムの力でも重みがあります
大排気量の車種で100km/h走行しているのと同じく快適で余裕を感じます
これが長年愛用のベッドです
ご覧の通り幅が狭く大きな人だと仰向けで寝る際に両手が収まらないときもあります
この狭さが私の最密位を確保してくれるのです
ここ数年いろいろなところに出かけて施術する機会も増えました
このベッドでないとやりにくいのは事実ですが
それもずいぶん慣れてきたように思います
最密位ができてさえいれば余計な力を使わず必要最小限でできるからです
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コメント
最蜜位っていうんですか。
もう10年以上前ですが、柔道整復師の友人に
一日に何人もマッサージしてて(マッサージというのは失礼なんだけど)しんどくないの??って聞いたことがあるんです。
そのとき友人が、
「全然疲れない、下手な人だと腕の力だけでやろうとするから疲れるねん」って言うていたのがやけに脳裏に残っていたんです。
いま、その台詞をスルリと思い出しました。
桶谷式の母乳ケアの先生も「ちょっとしたコツやねん」ってそういうてましたわ。
手技をする人に共通する基本技なんですね。
投稿: うどん好きのあゆ | 2011/06/16 01:23
相手に近づくことにより体重をかけるだけの作業で済みます
しかもその作業は体中で最も大きい力の強い筋肉で行いますから余裕で長時間こなすこともできます
ご老体に鞭打って朝9時から翌朝の5時まで(途中休憩あり)仕事をしたこともありますが眠いのとお腹がすくのだけが問題でした(笑)
手技療法のみならず身体を使う作業ならたいてい原理は同じようなものだと思います
投稿: ひろ | 2011/06/16 06:47