« GW中の営業 | トップページ | 水心 »

2010/05/01

意思

ヒトは体内で自らモルヒネ生成

 ヒトの体内で、少量ではあるが一定量のモルヒネが自然に生成されるという最新の研究が発表された。マウスやヒトの尿からモルヒネの痕跡が見つかることが度々あったが、これが体内で自然に生成されたものか、摂取したものが原因なのかは、これまでわかっていなかった。

 研究の共著者で、アメリカのミズーリ州セントルイスにあるドナルドダンフォース植物科学センターで植物由来の薬剤を研究するマインハルト・ツェンク氏によると、マウスの体内でこの“脅威の鎮痛剤”が生成され、ヒトなど他の哺乳類の体内にもモルヒネを作るための同様な“化学の設計図”があることが最新の研究で示されたという。

 研究では、マウスとヒトの体内で生成されることが知られている脳内化学物質テトラヒドロパパベロリン(THP)をマウスに注射し、質量分析計を使ってマウスの尿を分析した。その結果、THPがマウスの体内で化学変化を起こしてモルヒネが生成されたことが突き止められた。

 さらにマウスのモルヒネは、モルヒネを生成する唯一の植物として知られるケシとほぼ同じ方法で作られることもわかった。

 しかし、「哺乳類がモルヒネを生成する目的は何なのかが大きな問題だ」とツェンク氏は話す。

 THPがモルヒネに変化するには体内で17段階に及ぶ複雑な過程を経なければならない。これほど複雑なプロセスが必要であるにも関わらず、ケシと哺乳類がそれぞれモルヒネを生成するように進化したのは、何らかの理由で生き残りに有利だからと考えられる。

 研究が進んでいるケシの場合、モルヒネが捕食者に対する防御の役割を果たすと推測されている。例えば、モルヒネを含んだケシを食べたウサギは動きが鈍くなり、それを見つけたタカに捕食されやすくなるため、ウサギはケシを食べるのを避けるようになるかもしれない。

 同様に、ヒトが動物に襲われた場合、ほんの少量のモルヒネであっても襲撃から逃れられる程度に痛みを緩和する可能性があるとツェンク氏は指摘する。

 ただし、この説は今のところ「憶測に過ぎない」。同氏は今後、交通事故の被害者など大きな苦痛を経験した人の尿を分析して、体内のモルヒネの量が急増したかどうかを調査する計画だ。

 また同氏は、この研究が新しい治療法に繋がるかどうかを断言するのは難しいとしている。しかし、モルヒネの注射には便秘など多くの副作用を伴う場合があるため、外部から体内へモルヒネを注射するよりも体内で自然にモルヒネを生成させる方が危険性は少ないと考えられ、そのような方法がいつか開発されるかもしれない。

 この研究は2010年4月26日発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌に掲載されている。

こんな話題を見つけたのですが
モルヒネがどうのこうのという話よりもむしろ
ケシや哺乳類がモルヒネを必要とした理由に対する仮説が面白いですね
生物の進化そのものがそういうことなんでしょうけど
生存が有利ということでもこういう手段もあるわけなんですね
今話題の植物の色素成分でもあるフィトケミカル(ポリフェノールみたいなやつ)も植物自体が病気になりにくくするための化合物だそうですが、食べたら動きが鈍くなるから食べることを躊躇させるとはこれまた回りくどい方法のようにも思います
食べたら不味いだけでも充分躊躇してしまいそうですが・・・

いつもこういう話になると生物そのものに流れる意思みたいなものを感じてしまいます
それぞれの個体が持つ意識とは別次元で受け継がれる種族が生存するための包括的な意思とでも言うんでしょうか?
宗教的というか、哲学的というか・・・
人類の英知をもってしても遠く及ばない
そんな次元の意思を認めざるを得ないようなお話です

それをまた人間の知恵で治療法に使うのも壮大な話に思えます
やっていいことなのか悪いことなのかはわかりませんが・・・

|

« GW中の営業 | トップページ | 水心 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 意思:

« GW中の営業 | トップページ | 水心 »