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2009/12/22

真剣

この仕事のうれしいことは人との出会い
サラリーマン時代にはおよそ縁がないであろう人と出会うこともあります
今回もトレーニングジャーナルの連載が縁で素晴らしい方に出会いました


Photo_3
真剣 黒澤雄太

試斬居合道師範でいらっしゃる黒澤さんは文字通り真剣で居合いをされる剣士
このご著書には黒澤さんのお考えがしるされてあり
それは単に剣術のテクニックではなく、「人の道」としての試斬居合道です
まず最初の感想としては力感溢れる文章です
威圧感があり押しつけがましい文ではなく、むしろ物静かに穏やかな文章の中に凛としたものを感じました
さらに切っ先が光るような迫力すら漂いますが、ただそれで切り込まれるような恐怖心があるかというと、意外に暖かく慈愛のようなものを感じるから不思議なものです

先日、宮本武蔵の五輪書を読んで、結局私には武蔵の本当に伝えたかったことが理解できず、自らの未熟さを嘆いたばかりでしたが、ここにヒントがあるような気がします
たぶん私が理解し得なかったことってここに書かれていることそのものなんだと思うのです

それと私自身の長年のテーマというか研究課題になっている呼吸についても興味深いことが記されています
機会があるときにさらに深く追求してみたいですね

「見る」ということに深く書かれていますが、視界に映る物質を見るのではなく、そこから何が見えるのかが大切なようです
我々が人の身体を触って何を感じることができるのかということと共通した事柄だと思います
「見る力」は我々の職業でも前提条件になり、ともすればテクニックに心を奪われるときもありますが、それを使うためにはまず相手と自分が見えていないとお話になりません
本の内容から脱線しましたが、こういうことが具体的に書かれてあることがうれしいです

「抜苦与楽」という言葉が紹介されてあり、苦を取り除き楽を与える慈悲の働きという意味だそうですが、剣の極意であるだけではなく我々の仕事の本懐であると確信します

私が感じた「真剣」とは自らに刃をむけること・・・
そんなふうに思うのです

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コメント

父が真剣で居合をしてました。
居合というのは、真剣でするものだと思っていました。
刀を手入れする姿を遠くからよく見てたものです。
恐い、近寄れない・・・と思いながら・・・。
読んでみたい気がします。

投稿: persian | 2009/12/22 13:07

お父様が居合いをなさっておられたのなら多少の雰囲気はご存知なわけですね
私は2~3歳のころ軍刀を見せてもらっただけでそれ以外真剣を見る機会はありません

この本を読むと真剣は決して戦うための道具でないことがわかります
むしろ活きるために真剣と向き合う筆者の姿がご理解いただけると思います

興味がおありでしたら、私もぜひお勧めいたします

投稿: ひろ | 2009/12/22 13:47

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