ストレスと腰痛
精神的ストレスが腰痛の原因になりうるかという問題についてはずいぶん昔から議論の的となっていましたが、今ではサーノ博士のTMS理論が台頭し、ストレスがどのような経緯で腰痛を引き起こすかという具体的な説明も出てきました
もっとも腰痛の原因のすべてが精神的な要因にあるというような言い回しには賛成しかねます
あくまでもいくつかの原因をパラレルに考えた方が実態に即しているのではないかと思うのです
私個人としては老化現象や運動不足による体力低下(筋力低下だけではなく循環器系の能力低下にともなう回復力が減少することも含みます)や逆に過度の運動による肉体疲労や器質的な損傷、天候気候の急激な変化による自律神経系のバランスの喪失、あるいは内蔵機能の低下(疾患を含む)などの原因が複合的に身体に影響して腰痛の原因になるのではと考えています
むしろそれらのひとつに原因を求めること自体ナンセンスではないかと思うのです
ひとつの治療法(あるいは施術)の効果に限界があって、それを知らせまいとする意図があるとき、単純化された原因であった方が何かと都合がいいことが多いという穿った見方もできます
前置きが長くなりましたがストレスと腰痛の関係においてTMS理論とは違った私自身の感じたことをお話します
精神的ストレスが過度にかかると腸が反応する傾向は過敏性大腸炎などからも明らかです
「リトル・ブレイン」「セカンド・ブレイン」などとも言われる腸は消化吸収機能や蠕動運動のほかに情動にまつわる器官であるという研究もあり、「思考」が脳の仕事であるとするならば「感情」は腸で生み出されているというような説明もあります
現代医学でこういうところまで研究が進む以前から、ヨガでいうチャクラや東洋の丹田という概念が存在し、そこでキーポイントは下腹部であり、これはまさに腸を示しているものと考えます
「腹が立つ」「ムカツク」「太っ腹」「腹黒」などの心の状態を表す言葉も腸に関連するものが多いのです
ちなみに英語の「ガッツ」の語源も腸だそうです
古来、感情や心を表す言葉にも腸の状態で表現しているのもあながち偶然ではなさそうです
ストレスにさらされた腸がその機能を低下していく過程で腸の温度も下がります
慢性的に機能が低下した部位は血液の循環も悪くなり冷えるという状態に陥るわけです
腹部で大きな臓器である腸が全体的に、もしくは一部分が冷えた状態になると
その後方にある背中から腰にかけての骨格筋の体温をも奪うこともあるようです
腸腰筋、脊柱起立筋、腰方形筋などこれらはすべて腰痛に関連した筋肉です
冷えた筋肉は重だるく感じたり、場合によっては背骨に対して圧迫を生じさせたりすることもあります
もちろんその症状はひとそれぞれ違いがありますが
少なくともこのようなことでストレスが腰痛に関連することはあるようです
私自身も明確にストレスが原因だという確証を示すこともできませんが
なんとなくでもストレスが関与しているんだろうなということは感じたりします
腸の具合が腰痛に関連するということですが
この場合お腹を触るとたいてい固い箇所があります
これを解放してあげるのも私にとっては欠かせない手順のひとつです
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コメント
おはようございます!
ひろさんも、朝、早くに記事UPですね。
精神的ストレスが腰痛の原因と関わりが
あると言われているのですか。
腸が反応すると過敏性大腸炎に、怖いな。
実は、昨日、PCがウイルスにやられて
旦那さんがソフトを入れて、なんとか
よくなったと思っていたら、朝、全く
立ち上がらず、前のPCを何とか起動させて
お邪魔しています。
なので、ネット出来なくなるかと、まあ
どきどきものです。(゜O゜;
投稿: うさうさ | 2009/08/04 07:01
大丈夫ですよ!
いざとなればOSの再インストールで万事解決です
でもデータが全部消えますけどね ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ
投稿: ひろ | 2009/08/04 07:52
汚い話しで恐縮ですが、最近便通が悪くて気になっていたところです。
幸いなことに、今朝スッキリいたしました(笑)。
腸は感情に影響されるんですね。
腸の調子が日頃から余りよくない私は、ストレスなどを溜めないように気をつければいいのかしら?
投稿: coply | 2009/08/04 16:54
腸と感情はお互いに関係するようです
腸の具合がいいと何かしらウキウキしたり、逆に調子が悪いと意味もなく不機嫌になることもあります
対して、感情の起伏により腸の動きに影響を与えることはあるようです
ストレスのない生活などありえないし、また適度なストレスがないと緊張感もなくなりかえって身体が不活発になります
上手くストレスと付き合うことが生活のうえでは重要だと思います
投稿: ひろ | 2009/08/04 17:30
ひろさん
こんにちは。ひろさんの説明はわかりやすく参考になります。先日、施術して頂いたOさんの娘さんも感心してました。(胸鎖乳突筋のことで)
>腸の具合が腰痛に関連するということですが
>この場合お腹を触るとたいてい固い箇所があります
>これを解放してあげるのも私にとっては欠かせない手順のひとつです
私も、必ず、チェックする場所で、お腹が硬くなっていないと腰痛も良くなりやすく、ギックリ腰も早く、経過することを体験しております。また、鼠経部の張りつきも要チェックですね!
投稿: だるま | 2009/08/04 18:00
ありがとうございました
Oさんにも宜しくお伝えください
以前に岡島先生もご著書の中で似たようなことをおっしゃってるのを読んで大いに感動しました
鼠径部も腰痛との関係では必須のポイントですね
特に高齢になればその傾向は強くなると理解しております
投稿: ひろ | 2009/08/04 18:08